2015年4月6日月曜日

核兵器と戦争 1

 ロシアのプーチン大統領は、同国が昨年3月ウクライナ南部クリミア半島を併合した際、核兵器を臨戦態勢に置く用意もあったことを去る3月15日のロシア国営テレビ番組で明らかにした。
 プーチン大統領とは如何なる人物か。

 「 『プーチン大統領が行った、チェチェンをはじめ国内の反政府主義者に対する弾圧、そして国内のジャーナリストの暗殺、さらには民間資本家に対する略奪行為は、歴史にも比類がないほど非情でおぞましいものだ』 ロシア専門家で、アメリカの保守的シンクタンクであるアメリカンエンタープライズのレオン・アロン博士は、このように厳しくプーチン大統領を指弾しているが、このプーチンの残虐なやり方を、日本はじめ世界の人々はなぜか見過ごしてきた。(中略)
 ユダヤ系ロシア人でアメリカでも活躍しているジャーナリストのマーシャ・ゲッセンは『顔のない男』という著書の中で、”プーチンほど残虐な指導者はいない”と非難している。」
(日高義樹著徳間書店『アメリカはいつまで日本を守るか』)

 マーシャ・ゲッセンは、同書でプーチンを 『病的な泥棒で、生まれつきの犯罪者だ』 とまで決めつけている。
 少なくともこのような一面を持っているかもしれない人物が核のボタンを手中にしている。
 そしてその核兵器は世界一の軍事大国アメリカが保有する核兵器とほぼ匹敵する。(下図)
 核による傘とか核による抑止とかいわれてきたがそれが絶対的な安全を保障するものでないことを改めて思い知らせるプーチン大統領の発言である。


世界の核兵器2014年
国名戦略核戦術核予備/非配備保有核総数
ロシア16000270043008000
米国1920184266147657315
フランス290?300300
中国0?180250250
英国16065225225
イスラエル0808080
パキスタン0100-120100-120100-120
インド090-11090-11090-110
北朝鮮0<10<10<10
合計(概数)400018060001010016400
FASのサイト(Status of World Nuclear Forces)から(2014年4月30日更新)

 核兵器が開発されて以来日本だけが唯一の被爆国になった。 核兵器はその威力のゆえに核戦争はできないといわれてきた。  現に広島、長崎の原爆投下以降70年間 戦争で核兵器は使用されていない。
 人類は太古以来絶えることなく戦争を繰り返し戦争の合間に平和が訪れたといってもいい。
 核兵器の出現はこの流れをかえるのだろうか。皮肉に聞こえるが、人類は核兵器抜きの戦争だけの繰り返しに満足するのだろうか。
 プロイセンの将校クラウゼヴィッツは戦争論で 『戦争とは他の手段をもってする政治の継続である』といった。
 政治の延長であり、紛争解決の最終手段が戦争である。そうであれば戦争はれっきとした制度ということになる。
 この古典的なクルゼヴィッツの定義は核兵器時代の戦争にも当てはまるのだろうか。
 プーチン大統領の発言を機会にこの問題について考えてみたい。
 同時に非核保有国であるわが国の防衛について考えてみたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿