2014年3月31日月曜日

「反日」韓国 5

 韓国の『反日』は、まず歴代政権がこれを主導して始まり、次に、この『反日』が民間レベルに及び、政権の思惑とは多少異なる形で徐々に浸透していった。
 そのあげく、『反日』で一儲けしようという者があらわれ、『反日』がビジネスと化した。
 政治家は、『反日』で国民の媚を買い、事業者は、『反日』で利益を得る。これが定着し、国家レベルでの反日システムとなった。
 この間の経緯を崔碩栄氏は次のようにのべている。

 「韓国の歴代政権は自分たちの目的のために国家のレベルで反日教育、宣伝を行ってきた。
 この結果『国家レベル』の反日の土台が固まり、それを利用しようとする『民間レベル』の反日が現れたのは1990年頃である。
 『反日』というテーマが韓国社会で力を発揮する妙薬であることに気づいてしまったのだ。
 その主体は商売人、政治家、市民団体、研究者から北朝鮮までと幅広い。しかし国家レベルの、国が望む価値観と常識を国民に植えつけようとする『洗脳』まがいの反日に比べて、民間レベルの反日はその目標がより具体的で、現実味がある。
 国家観、歴史観などではなく何かの『利益』を目指して動いているからである。」(崔碩栄(チェ・ソギョン)著彩図社『韓国が反日国家である本当の理由』)

 そして、反日で『利益』を得ている人々について次のように述べている。                      (前掲書要旨)
① 商売人
 韓国人の愛国心を最大限に利用し利益を得ている。独島(日本の竹島)が典型的である。
 金融、IT,製造、通信、食べ物など、ビジネスのあらゆる分野で『独島イベント』が実施され、利益を得ている。
 分かりやすい例を一つ、『独島弁当』。
 歴史教科書、竹島、靖国参拝問題がおこるたびに韓国の弁当屋さんは笑いが止まらない。
 弁当の中身が沢庵、海老フライ、豚カツなど日本由来のおかずであったが、そんなことにはおかまいなし。

② 市民団体
 韓国には日本の朝鮮統治や太平洋戦争と関連する市民団体が数多く存在する。類似した名前と目標を持つ団体もかなり多く、一般市民の目には区別がつかないほどである。
 諸団体の共通点は『日本』 『被害』 『犠牲』 という言葉を使い、常に何かを『求める』ことである。
 彼らは何を要求するのか。彼らが要求してきたものは、謝罪、賠償、補償、子孫への奨学金支給、無住宅被害者のためのマンション提供などである。
 これらの団体の活動は詐欺まがいである。
 例えば次のような事件はほんの一例である。

 2005年3月、『日本統治期に行われた強制動員に対する賠償金をもらえる』と全国から687人を集め、会費名目で合計1億5000万ウォンを騙し取った市民団体が警察に捕まった。
 典型的な『賠償金詐欺』の一つで、判断能力が落ちている老人たちを相手に金を騙し取る汚い手口である。
 しかし、警察の調べで驚くべき事実が明らかになった。
 それは、強制動員被害者であると名乗り会費を納めていた人の80%は徴用の経験のない『偽被害者』だったことである。
 『強制動員被害者』として会費を納めた『偽被害者』たちも、お金をもらうためならば『教育』を受け、『被害者』の役割を演じることに躊躇はなかったのだろう。
 騙したほうも、全員ではないにしろ騙された方にも、『真実』は重要な問題ではなかったのだ。

③ 政治家
 韓国の政治家ほど『反日』を積極的に利用してきた集団は他にいない。
 彼らが反日を利用したのは歴史を評価するためではない。だからといって自分の直接的な利益のためでもない。
 彼らは政敵を攻撃するため反日を利用する。
 韓国の国民が『親日派』に対して大きな反感を持っていることを利用し、反対派や選挙において競争相手の親日前歴を問題視するのである。
 現在、韓国の政治家たちはほとんどが戦後生まれである。しかし、韓国の親日攻撃には賞味期限がない。
 相手を攻撃すつためであれば、相手の父、祖父の代まで問題視するのである。

④ 北朝鮮
 韓国で起きている反日は北朝鮮と密接な関連がある。北朝鮮が韓国の反日感情を扇動する場合もあるし、不思議なことに北朝鮮と同じ声を出す韓国内の勢力も増えているのである。
 先頃の韓国の世論調査で、金正恩第一書記は、指導者好感度で安倍首相より上位であった。

⑤ 韓国と日本の左派
 韓国の左派学生運動勢力、日本の朝鮮総連は、過去の左派たちと同じく過去に日本がどれだけ悪いことをしたか強調する。
 国交樹立から既に50年以上経ったにもかかわらずである。それは日本を嫌っているからではない。彼らが反日の姿勢を崩さないのは、それが日本と韓国政府を批判する材料、そして消極的な韓国政府を圧迫する材料として使えるからだ。

⑥ 学者、研究者、活動家
 韓国には、国庫補助金で、『独島学科』が設立された大学がある。また、『独島教育士』 『独島文化解説士』などの資格検定がある。
 これらの制度が廃止されずに維持されるためには、日本との紛争が永遠に続くのが必要条件である。
 彼らにとって彼ら自身の日本に対する感情はどうでもいいことだ。彼らの中に『反日感情』がなくても、彼らは『反日』を行うしかないシステムになってしまったのである。

⑦ 反日を『業績』として利用する人々
 日本を敵として設定し、それを批判することは韓国内での売名のためにはとても有効な手段である。
 韓国のマスコミは、その内容が正しいか、正しくないかは置いといて、とりあえず報道する傾向があり、一方で、それに疑問を持ち、自分の目で確かめようとする読者、視聴者は少ない。
 その影響で嘘、間違いが紛れ込んだ報道が溢れている。
 なぜか日本関連ニュースだけに高い関心を示す韓国社会にも問題があるが、それを利用し刺激的なニュースを繰り返して量産する韓国マスコミの責任と罪も少なくない。

 崔碩栄氏は、以上を列挙したあと、最後に、象徴的な言葉で締めくくっている。

 「政治家たちは政敵への誹謗中傷のために、北朝鮮は韓国政府批判のために、韓国政府は世論操作のために繰り返して『反日』という薬を使用し、国民は自分でも気づかないまま、中毒になり、それに頼らざるを得なくなった。
 そして、それの『効き目』に気付いた勢力が、それを自分たちの『利益』のために利用するようになったのだ。
 『システム』が長年運営されてきた結果、その副作用も現れた。 韓国社会が自ら主張し、育ててきた『反日感情』に手をつけられなくなったのである。
 つまり、自在に操ることができた『反日』が、韓国社会の濫用の下で成長し続け、操縦制御不能のモンスターとなってしまったのだ。」(前掲書)

 さる3月25日の日米韓3者首脳会談で朴槿惠大統領は、安倍首相の韓国語の挨拶に無視で応じた。
 公の席でにこやかに握手でもしようものなら、韓国の政敵、マスコミの好餌となる。
 世論の支持を失うのに比べれば、外交非礼なぞなんのその。
 この際仏頂面を決め込むに限る。
 極めて分かりやすい日米韓3者首脳会談であった。

2014年3月24日月曜日

「反日」韓国 4

 次に、韓国人の『反日』韓国の分析
韓国のフリーライターであり、、韓国メディアの反日扇動を告発した『キムチ愛国主義ー韓国言論の理由なき反日』の著者である崔碩栄(チェ・ソギョン)氏の「反日」韓国の分析を紹介したい。
 同書は、2011年韓国文化観光部から社会科学部門優秀推薦図書に選ばれたている。氏は、反日韓国を客観的に観察し分析している。
 崔碩栄氏によると、韓国社会では今なお中世欧州さながらの魔女狩りが横行しているという。

 「ソウル大学の経済史学者である李榮薫(イヨンフン)教授は、
 『教科書に書いてあるような日本による米、物資の収奪はなかった』、『植民地時代について知っている韓国人の集団的記憶は多くの場合、作られたもので、教育されたものだ』と言う主張をしたことで有名な学者だ。
 それは彼の長年の調査と記録に基づいた主張だったが、韓国社会にはあまりにも唐突で、大きなショックを与えた。
 李教授が2004年テレビの討論番組で『(日本)の公権力による強制的な慰安婦動員の証拠はまだ見つかっていない』と発言するとマスコミ、市民団体、政党、一般市民から怒りの声が噴出した。
 彼が勤めている大学には彼の辞職、解雇を求める声が殺到し、インターネットは彼を批判する声で埋め尽くされるなどものすごいバッシングが起きたのだ。
 しかし、それは始まりに過ぎなかった。
2006年に開かれたあるシンポジウムで、李教授は乱入した市民団体の人々に胸倉をつかまれ、引き倒され、蹴られる、殴られるという暴行を受けた。顔面と腹部を殴られた李教授は血を流しながら救急車で運ばれるほどの事態となった。」(崔碩栄(チェ・ソギョン)著彩図社『韓国が反日国家である本当の理由』)

 日本人は、韓国の狂ったような反日感情は、日本による、35年にもわたる植民地支配の恨みつらみが爆発しているのだろうと考える。が、崔碩栄氏は、それは違うと言う。

 「日本と韓国の多様な資料に接した結果、気付いたことがある。それは、
① 現在見られる韓国の反日感情は、『過去』に起因するものではない、
② 韓国社会には社会的『システム』として反日感情を生産、維持する装置がある、
③ その『システム』の中に生まれ、育った人々は自分が限られた情報と報道しか見ていないことを認知できないということである。」
(前掲書)

 そして、その『システム』を作り上げ、運営している主体について言及している。

 「韓国の現代史を振り返ってみると、韓国の歴代政権が体制維持、支持率の獲得、外交の手段として『反日』というカードを繰り返し利用してきたことがわかる。
 国内の混乱と不満を抑えるため国外へ国民の目をそむけさせることは歴史上多くの国が使ってきた方法であり、現在も世界の色々な国が使っている常套手段でもある。
 韓国の場合、日本に35年間支配された過去の『傷』があるため、『日本』が利用しやすい素材であることは否めない。
 とはいえ、1980年以降強まった反日感情は日本統治期を経験した人々ではなく、未経験者たちにより提起されたのがほとんどである。
 即ちもはや現代韓国の『反日感情』の原因は、『過去』の辛い記憶にあると明言することは出来なくなっているのである。」(前掲書)

 「韓国社会が国民に正確でない情報を提供するようになる原因、それは結論が最初から決まっているからだ。
 常に『日本=悪』、『日本統治期=地獄』という結論に決まっているため、『日本≠悪』、『日本統治期≠地獄』という事例が出てきたら、隠ぺい、強引な解釈、嘘が必要になるのだ。」(前掲書)

 つまり韓国社会は、『反日』という情報のシャワーを浴び続け、外の世界が見えなくなってしまった。 勇気を出して外の世界を見ようとする人はいる。が、それを口に出した途端魔女狩りにあう。

 このように『反日』は、韓国社会の『システム』となっている。この『システム』を作り上げた主体は、当初、歴代政権であったが、今や、その手を離れ、拡大再生産され、制御不能の域まで達している。
 それが証左に韓国大統領さえ国民の目をおそれ日本への攻撃姿勢を緩めず日本との首脳会談を拒み続け、アメリカの仲介で渋々日米韓3カ国の首脳会談に応じたほどである。
 『反日』韓国を理解するには制御不能に陥った現実の直視およびそれにいたる原因を突き止めなければならない。
 

2014年3月21日金曜日

カンボジアの憂鬱

 カンボジアを旅行した。2009年以来2度目となる。

 カンボジアは、内戦終結の1975年から1979年の4年間ポルポト政権下の暗黒の時代の影が未だに色濃く引きずっている。
 ポルポト政権の弾圧からの解放直後の人口構成は、国民の85%が14歳以下であった。
 カンボジア人の大人の大多数が殺された。現在40~50歳のカンボジア人は大多数がその親を殺されたということになる。
 内戦およびポルポト政権の虐殺は200万人とも300万人とも言われ数さえ特定できていない。
 解放四半世紀後の人口構成からもその異常さが読み取れる。(下図)
 ポルポトという一人の狂信的な原始共産主義信奉者によってもたらされた悲劇は、ナチスドイツのヒットラーによる悲劇に勝るとも劣らない。
 時代が進み、文明が発達しても、悲劇は繰り返されてきた。
 将来も繰り返されないと誰も保証などできない。一人の人間にすみついた狂気は、どんな細菌より恐ろしいことをまざまざとみせつけられた。
 クメール(カンボジア)人は、もともと、穏やかで優しく、信心深いといわれている。が、その表情は暗い。
 本来の穏やかで優しく、南国特有の明るい表情が戻るにはまだまだ時間がかかるのだろう。

 今回は、カンボジア遺跡観光でバケン山での夕日鑑賞があった。
 どのようなすばらしいものかと期待したが、日本のどこからでも見られる夕日と変わりないものであった。
 ただ一つ感動したのは、夕日鑑賞にきた人の感動した表情であった。めったに見れない一大天体ショーでもあるかのごとく人々は興奮した表情であった。



  これは『ロンリープラネット』や『地球の歩き方』などの旅行ガイドブック、あるいは旅行会社の宣伝が行き渡っている効果にちがいない。
” 観光の正体見たり夕日ショー ”

2014年3月10日月曜日

「反日」韓国 3

 宗教は人々の行動様式を左右する。濃淡の差こそあれ宗教は人間精神の根幹にかかわるからである。
 日本人は宗教に無節操であることに異論の余地はない。
 正月や七五三には神社にお参り、結婚式の誓いは牧師に宣誓し、クリスマスにはお祭り騒ぎをし、葬式と法事は僧侶にお経をあげてもらう。
 これすべて同一人物。これはなにも、隣国の韓国との違いであるばかりでなく、広く世界との違いである。
 日本には仏教、神道、キリスト教などあるが、どの宗教を信じようと日本人の行動様式は一様であると、山本七平氏は指摘した。 この意味で日本には宗教がない。韓国は他の世界の多くの国同様、宗教国家である。韓国には仏教、キリスト教、儒教と、それぞれに熱心な信者がいる。
 親族構造もまた、人々の行動様式を左右する。
 韓国は部外婚を有する父系集団を基礎におく父系社会である。日本はこれと異なる。

 「日本には韓国の本貫、中国の宗族にあたる父系集団はない。だから部外婚などははじめから考えられない。同一父系のいとこや、はとこと平気で結婚する。
 日本の親族構造からみて、一向に差し支えないことである。だが、韓国人がこれを見ると、畜生のごとく野蛮な行為に見えてしまう。
 そんな人種はいくら強くて金持ちでも、とても尊敬する気になれっこない。これは、韓国の文化が高く、日本の文化が低いということ、いわゆる文化落差よりもさらに深刻な問題である。
 とくに韓国人の疳にさわるのが日本の婿養子。韓国人や中国人やインド人は、これは近親相姦だという。
 『異姓養わず』、養子は同一本貫(宗族)からでないといけない。日本では勝手にどこからでも養子をもらう。これですらベラボーなのに、その子とうちの娘と結婚させる。となると兄弟結婚。れっきとした近親相姦ではないか。
 こんなことをやってて平気な日本人は、れっきとした畜生ではないか。こんな日本人に征服された韓国人は、地球が猿の惑星になったと言って嘆いた。」(小室直樹著光文社『韓国の悲劇』)

 このように宗教と親族構造という社会の基盤をなす構造が根底から異なるが故に、ものの考え方がガラリと違ってくる。


 「韓国人と日本人とは人種的にきわめて近い。ほとんど同じだと言っていいくらいだ。
 言語構造は似ているが、発音はずいぶん違う。米を炊き主食とすること、床にじかに座ることなど、日本と同じ習慣も多い。
 だが、社会のしくみ(社会構造)はまるで違う。
 韓国の親族構造は、部外婚を有する父系社会。これは中国とまったく同じで日本とは根本的に違う。
 ただし相続に関しては、韓国と中国とは異なっていた。韓国では、儒教も仏教も戒律こみで受容したのに対し、日本では戒律はみんな抜き去ってしまう。
 韓国社会に論理はあるが日本社会に論理はない。これらの意味で、韓国は日本にとって近くて遠い国だといえるだろう。」(前掲書)

 このように近くにありながら互いに理解できない社会構造で、日本は韓国を併合した。その併合の仕方は、日本特有の論理によった。
 日本は韓国を併合したが、その言い分が極めて日本的である。
 曰く、日本は西欧列強のように植民地化したのではなく、差別のない併合であると。
 だが実際はその反対のことをする。国家レベルでの本音と建前、日本人には理解できても、韓国人に理解できる筈もない。ウソをつかれ、だまされたと思う。

 「さらにわるいことには、『一視同仁』や『日韓無差別論』が、『同化政策』のイデオロギーとして用いられたことである。
 『同化政策』とは、一言でいえば、韓国人を日本人のごとくにしてしまおう、という政策である。
 これほどの愚考は考えられない。かかる政策を強行することによって日本人は、政治音痴であり、植民地を持つ資格のないことを告白してしまった。(中略)
 かかる『同化政策』が、韓国のごとき、永い歴史と高い文化をもち、また、社会構造的に宗教的に、日本とまったく異質的な韓国において失敗することは、火を見るより明らかであった。
 日本人が、韓国人に嫌われるようになった最大の原因は、『同化政策』なのである。
 日本統治時代で一番嫌なことは何かとの質問に対して、韓国人は答える。
 創氏改名(朝鮮人に日本式の姓名を強制する)と、戦争中におけるハングルの使用禁止である、と。
 それに公式の場における朝鮮語の使用禁止と宮城遥拝・神社参拝である、と。
 怒りで全身をふるわせるようにして、ここまで語った韓国人は、苦笑しながらつけ加える。
 日本人はわれわれに、大掃除のやり方まで口出ししたんですからねェ、と。」(前掲書)

 韓国人の魂の叫びを、三島由紀夫の『英霊の』の口調でいえばかくのごときか

韓国が併合されたるはよし
屈辱を嘗めしはよし
日本人の文化的忘恩はよし
宗教が違うのもよし
親族構造が違うのもよし
自らの力で独立を勝ち取らず歴史的正統性の欠如はよし
祖国が分断され塗炭の苦しみにあえぐのはよし
されど、ただ一つ、ただ一つ
いかなる欺瞞、いかなる併合ありとても
われらの言葉われらの名前を禁じ皇居遥拝・神社参拝を強制するべからざりし
などて『日帝』は、われらの魂を踏みにじりしか

2014年3月3日月曜日

「反日」韓国 2

 1910年から1945年まで日本の朝鮮半島統治は、他の西洋列強の植民地統治とは異なり、過酷さにおいて雲泥の差があった。
 日本の統治は、過酷というより近代化の手助けといったほうが正しい。なにしろイギリス、フランス、オランダ、スペインなどの西洋列強は、当時植民地人を人間扱いしないとまでいわれていたのだから。
 これに比し日本は植民地朝鮮に対しなんと優しかったことか。
 教育振興、殖産興業は言うに及ばず両班といわれる支配階級から朝鮮人民を解放さえした。
 にも拘わらず、韓国人は酷く日本を嫌う。韓国の世論調査で日本は常に嫌いな国ダントツ1位である。
 この不思議の解明こそ、社会科学の出番である。
 為政者の教育による表層にあらわれた「反日」などではなく、韓国人の深層に潜む「反日」の解明こそが重要である。

 以下、日韓双方からの社会科学的分析を紹介しつつ、韓国人の「反日」の原因を考えて見たい。

 まず、日本側から。
 韓国を訪れ、同国の政府高官、学者等と日韓関係につき、たびたび激論を交わした、日本の社会科学の泰斗 小室直樹博士の分析を紹介したい。
 小室博士の論点は極めて明快で次の4点に絞られる。 
 韓国独立の経緯、歴史認識、社会基盤および同化政策である。

 1 独立の経緯
 独立は自ら勝ちとらねばならないが、韓国はそうではなかった。

 「韓国においては、八月十五日は、解放記念日として祝われる。ここから、すべての誤りがはじまる。
 その第一の理由は、この日に、韓国・朝鮮は解放されたのではないからである。
 そして第二に、韓国における根本的不幸はこの日からはじまったからである。
 昭和二十年八月十五日は、日本はポツダム宣言を受諾した。しかし、このことによって朝鮮が解放されたわけではなかった。
 金九、暗殺の神様といわれ、植民地時代に、独立を求める人びとの希望の星として、尊敬を一身に集めていた人物である。
 彼は、日本降伏の報に接したとき、天を仰いで長嘆息した。
 韓国軍は、日本軍をうち破ることは一度もなかった。わたしは、日本軍を撃滅してわが同胞を解放したかった。
 最後まで、日本軍に制圧されたままの解放なんて、結局、何にもなるまい。-------この金九の嘆き。
 ここに韓国人の対日感情の原点がある。『解放』なんて言ったところで、決して、自力で『日帝』を追ったのではない。本当のところ、ほとんど何もできなかったのだ。(中略)
 日本が敗戦して朝鮮解放の日は近づいた。嬉しくてたまらないはずなのに、少しも嬉しくない。韓国光復軍が日本軍を破ることによって、韓国は独立を獲得したかった。
 このままだと韓国には発言権がないことになってしまう。予言的な言葉である。といいたいところだが、そうではない。
 これぞ国際政治の常識。韓国光復軍といったところで、実は、何もしなかったのであった。
 いくら何でも、正式の会戦で日本軍を破れ、ここまでは、ルーズベルトもチャーチルも、蒋介石も周恩来も要求はするまい。いや、考えてもみないだろう。
 しかし、重慶に本拠をおく大韓臨時政府の軍隊たる韓国光復軍。せめて、対日ゲリラくらいには参加してもよかったのではないか。韓国の『解放』が、日帝から戦いによって奪取したものでなく、日帝とアメリカとの取引によって得られたものであること。
 この外傷が致命的な後遺症となって大韓民国を呪縛することになる。カーライルは、英国の王冠には、クロムウェルによって処刑されたチャールズ一世の亡霊がまといついて離れないといった。 大韓民国には、韓国人民によってではなく、アメリカによって処刑された、大日本帝国の亡霊がまといついて離れないのである。 宿命か作為か。」(小室直樹著光文社『韓国の悲劇』)

 つまり、韓国の統治は、日本軍からアメリカに引き継がれただけで韓国人の頭ごしになされた。韓国人の介入する余地ばなかった。
 ここに韓国の悲劇の淵源がある。フロイトは幼児体験の決定的重要性を強調したが、国もまた建国創業のときの慣行が、その国の前途を大きく規定すると小室博士は言う。

 2 歴史認識
 韓国の朴槿恵大統領はことあるごとに日本の歴史認識を指摘する。朴大統領がいう歴史認識とは、植民地時代の日本の誤りの謝罪を指すことだと受けとるのが日本人の一般的な見方だろう。
 が、小室博士はつぎのように指摘する。

 「今日ほど、日本人の韓国人に対する地位の高い時代はない。経済も文化も、現在、日本から大韓民国へほとんど一方的に流れている。その逆はあまり見られない。
 これは、日韓交流二千年史からみて、まことに異例なことである。この異様さに、日本人が気づいていないこと。
 ここに、日本と韓国が近くて遠い国になってしまった第一の理由がある。日本人は、この異様さに無関心なのに、韓国人は、おおいに関心があり、日本人の無関心さにいらだつ。
 この二千年間、明治維新にいたるまでは、軍事的にいえば日本優勢、文化的にいえば、韓国優勢であって、文武あわせてトントンといったところであった。
 しかも、韓半島に立国した諸国は文化国であり、日本は尚武の国であった。これが幸いして日本は、あまりコンプレックスをいだくこともなく、百済、新羅から李王朝の朝鮮にいたるまで、諸王朝から思いきって高い文化を輸入または略奪して、文化と生産力を向上させてきた。
 そして、同時に、これらの国の人びとを深く尊敬してきた。」(前掲書)

 こういう経緯を説明したあとで、日本人の文化的忘恩を指摘している。

 「飛鳥、奈良時代も、徳川時代も、日本人は韓国の文化をいたく尊敬し、韓国人自身さえも驚くほど韓国の国内事情に通じていた。この時代、日本人はそれほどまで、韓国文化の輸入に熱心であったのだ。
 韓国は先生で、日本はよき生徒であった。この関係が明治以降は逆転した、となると韓国人の気持ち、どんなものだか。言われなくったってわかるだろう。
 今まで、先生先生とあがめたてまつり、一言半句まで拳々服膺していた奴が、急に威張りだす。おまえの言うことなんかチャンチャラおかしくて聞けるかい。もう知らん。なんならこんどは俺のほうが先生になってやろうか。こう言いだしたらどうなる。(中略)
 日本人の文化的忘恩症は骨がらみの重病だ。
 現在の日米間の摩擦も、根源的には日本人の文化的忘恩症からきている。昨日までは、なんでもかんでもアメリカ一片倒。
 アメリカ様々と猿真似してきた。おかげで技術水準もアメリカに追いつき、経済もアメリカ先生を脅かすほど強くなってきた。アメリカ先生、出藍の誉れと喜んでやりたいところだが、とてもそんな気にはなれない。鉄鋼やら自動車やら、いくつかの基幹産業でアメリカを追う抜いたとたんに威張りだした。(中略)
 アメリカ人は、日本がここまでのしてこられたのは誰のおかげだ、と言いたくなる。
 技術や経済でアメリカとの差が小さくなるのと反比例して、日本の態度がでかくなる。
 アメリカ人の身になってみれば、いったい何様だと思ってやがるんでエ。昨日までアメリカの一顰一笑に汲々としていた日本が、なんのかんのと口答えしてアメリカの言うことを聞かなくなる。」(前掲書)

 30年ほど前の著作であるがアメリカとの関係は記憶に新しい。日韓関係も、時間軸を引き伸ばせば日米関係と似ている。目の前の出来事ばかりに心を奪われていては、物事の本質を見失う。
 日韓関係の異常さは、日韓の文化交流の逆流現象に起因しているが、このほかもっともっと根深いものにも起因している。