2014年6月30日月曜日

移民政策 1

 わが国では、いま少子高齢化が加速度的に進んでいる。特に地方ではひところ限界集落ということがいわれていたが、今や消滅集落ということがいわれている。
 さらに日本独特のものとして東京一極集中の極点社会ということもいわれている。
 内閣府は、このままの勢いで人口減少が続けば日本の人口は、現在の12752万人から2060年に8674万人、2110年に4286万人まで減少する。
 地方の問題として、2040年時点で約1800自治体のうち、523自治体は「消滅可能性」が高い、と試算している。(2014年2月24日内閣府資料『目指すべき日本の未来の姿について』)

 第一次ベビーブームの団塊の世代(1947~1951生)と団塊の世代の子の第二次ベビーブームの頃、狭い国土に人口が多すぎだという人はいたかもしれないが、人口減少を危惧する声なぞ聞いたことがない。
 折りしもバブルが発生し土地が暴騰した。やがてバブルは弾けその反動もあってか、少子化がすすみ核家族化し、さらに最近は一人暮らしが増えている。
 雰囲気とか流れに弱いのは日本人の骨がらみの病であり変わりようがない。
 雰囲気に流されるのはやむを得ないとしても、これを利用しようとする人がいても不思議ではない。
 最近特に生産年齢人口減少の対策として外国人労働者の受け入れが議論の的になっている。賛否両論がある。
 外国人労働者の受け入れは西欧諸国の事例をみるかぎり移民問題へと発展する重要な政策である。基本に立ち返り議論さるべき政策課題である。

 移民政策には、その前提に人口問題がある。
 「食料の伸びは等差級数的であるが人口の伸びは等比級数的である」はあまりにも有名。これを言ったのは近代人口問題の草分けイギリスのトマス・ロバート・マルサスであるが、彼は1798年に「人口の原理に関する一論」を発表した。
その骨子は

①人口は生活資料(人間が生きていくためのに必要な食料や衣料などの生活物資)が増加するところでは、常に増加する。逆に生活資料によって必ず制約される。

②人口は幾何(等比)級数的に増加し、生活資料は算術(等差)級数的に増加するから、人口は常に生活資料の水準を越えて増加する。その結果、人口と生活資料の間には、必然的に不均衡が発生する。

③不均衡が発生すると、人口集団には、それを是正しようとする力が働く。人口に対してはその増加を抑えようとする「積極的妨げ(主として窮乏と罪悪)」や「予防的妨げ(主として結婚延期による出生の抑制)」が、また生活資料に対してはその水準を高めようとする「人為的努力(耕地拡大や収穫拡大など)」が、それぞれ発生する。

④人為的努力によって改めてもたらされる、新たな均衡状態は、人口、生活資料とも以前より高い水準で実現される。」
(古田隆彦著PHP研究所『人口減少日本はこう変わる』 から)

 人口は増加する一方ではない。減少することもある。戦争とか疫病以外でも、人口と食料などの生活資料のバランスが崩れたら人為的な人口抑制が働き人口は減少する。
 人口は増減を繰り返し波動を辿る。(下図)



 近年、西欧諸国は、このマルサスの人口波動に逆らうような移民政策を行ってきた。そしてわが国でも官民双方から、外国人労働者の受け入れを本格的に検討するようになった。
 外国人労働者の受け入れは移民政策につながる。これは「国のありかた」を変える一大政策であり慎重にとり扱われるべきである。
 賛成、反対双方の論拠を順次検証してみたい。


0 件のコメント:

コメントを投稿