日本経済の停滞は1996年に始まっているので23年間に及んでいる。われわれはアベノミクスによって経済が成長したかのような錯覚に陥りがちだが実態は主要国名目GDPが示すようにそれ以前と何ら変わっていない。
一方2014年から始まったアベノミクス間にアメリカと中国は目覚ましい成長を遂げている。
この間日本経済は財務省による緊縮路線と小泉・安倍内閣による新自由主義路線によって成長を阻害された。
仮にこの二つの要因がなかったらこれほどまでにアメリカや中国に引き離されることはなかったであろう。
だが引き離されたことは事実であり取り消すことはできない。このことを悔やんでも恨んでも何の解決にもならない。残念ながら低迷はいまなお続いている。
厚労省が発表した毎月勤労統計調査(速報)によると
「6月の実質賃金は0.5%減少と、前年同月を6カ月連続で下回った。消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の高止まりが響いた。」(ロイター)
にもかかわらず厚労省は賞与が0.9%上回ったので賃金動向について
「基調として穏やかに増加している」(賃金福祉統計室)との見方を維持した。
きまって支給する給与が上がらないで賃金の基調が増加しているとは言えない。大本営発表の慣行がいまなお残っていると言われても仕方ないだろう。
かって数学者の広中平祐氏は「事実を事実として受け止める人間が、最も成功する」とアメリカでの逸話を紹介している。起きたという事実はじたばたしても仕方がない。
日本の衰退を防ぐ方法があるとすれば、それにはまず事実を事実として直視しその上で二つの阻害要因を取り除くこと、これ以外にない。
明治維新の若者の行動には目を見張るものがある。高杉晋作は上海視察で西洋人がシナ人を奴隷のように扱う光景を目のあたりにした。このままでは日本も植民地にされると危機感を抱いた。同じように当時の志士たちも危機感を抱いた。この危機感が明治維新の出発点である。
彼らはこの現実に目を背けることなく果敢に運命に立ち向かった。
世の中を正さなければならないと覚悟をきめたら自分なりにできることから一歩を踏み出す。授業ボイコットを呼びかけた東洋大の学生もその一人である。
「予備校時代に政治に関心を持つようになり、自分でいろいろ調べ始めました。
その結果、竹中という人物が何をしてきたのかを理解するようになりました。
特に労働分野の規制緩和を進め、非正規雇用を拡大させたことに強い反発を感じました。
私は2015年に東洋大学に入学しましたが、2年生になった2016年、突然竹中氏が東洋大学に来たのです。
その時以来、『このような人物が自分の大学で教えていていいのか』と疑問を感じ、悶々とした状態が続きました。
ようやく、今年に入って、たとえ自分の身に不都合が生じても、まず自分がいる場所で行動を起こさなければいけないと思い、行動を起こしました。」(月刊日本2019年3月号)
明治維新がそうであったように時代の変わり目はいつも若者の行動からはじまる。体制側に自浄作用を求めるのは「百年河清を俟つ」ようなもの。
常にそうとはかぎらないが少なくとも現代日本で確実に言えること。それは緊縮路線と新自由主義路線の転換。これこそ格好の攻撃対象でありドリルで風穴を開けるべき岩盤である。
そうと決めたらそれが正しいか否かを気にすることはない。まずは自分にできることから一歩を踏み出すこと、これ以外に衰退する日本を救う道はない。
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