2018年10月8日月曜日

持続の帝国 中国 1

 トランプ米大統領は9月24日、知的財産侵害を理由に中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)に10%の関税を上乗せし、中国が交渉に応じない場合来年早々25%に引き上げる制裁に踏み切った。
 一方、中国は年間600億ドル(約6兆7千億円)相当のアメリカ製品に追加関税を米国と同時発動した。
 人民日報系の環球時報は9月25日付社説で、「中国は実力のある大国だ。経済的であろうと軍事的であろうと中国と敵対すれば、膨大な代価を支払うことになる」と米国を強く牽制した。
 世界1位と2位の経済大国の貿易戦争はますますエスカレートしている。

 この両国の争いについて多くの学者、政治家、あるいは専門家、識者などが今後の展開を予想している。
 曰く、両者の貿易量から米国が勝つに決まっている。中国は間もなく白旗をあげるだろう。
 一方、誇り高い中国人の性格からして決して譲歩しないだろう。両国とも引かない場合、軍事衝突もありうる。
 もっとうがった見方として、この貿易戦争は、覇権国アメリカが、その地位を脅かそうとする中国への逆襲である、などなど。

 日本は同盟国アメリカと戦後70年以上の付き合いがあり、たとえトランプ氏のような特異な大統領が現れ暴走してもアメリカ議会が制動装置となり歯止めをかけるであろうことを知っている。
 しかし共産党一党独裁の中国は、チベット、南シナ海、東シナ海とその膨張政策は止まるところを知らず、将来どうなるのか予想さえつかない。
 中国については、わが国との歴史的な絆、地理的近さにもかかわらずアメリカほど理解がすすんでいるとは言えない。否、理解していないというより誤解しているといったほうがより正確かもしれない。

 今度の米中貿易戦争に関連して、中国との関係を専門とする学者、政治家、ビジネスマン、識者などが頻繁にメディアに登場し論評している。
 見解は、予想通りというかご多分にもれずというか楽観論と悲観論が入り混じり定まっていない。
 これらの体験談は個別には正しい。それぞれが体験したことに嘘があるはずはないからである。
 が、結局この問題はどう決着がつくのかという問いに説得力ある答えを見出すことは困難である。個人の体験談は科学的知見を欠き社会学的判断のデータとはなり得ないからである。
 この問いに答えるためには、まず、中国の真の姿、表面を見ただけでは分からない部分を照射しなければならない。さもなくば何事も分からないし何事もすすまない。

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