2017年7月3日月曜日

選挙のお国柄

 イギリスの選挙の予想は難しい。古くは第二次世界大戦で対ドイツ戦で勝利したイギリスのウインストン・チャーチルが1945年7月の選挙で敗れ野党に転落した。
 戦争の英雄は平和時には不要であると冷徹に審判したイギリス人ならではの感覚であろう。
 最近は先月、EUとの離脱交渉に備えて政権基盤の強化を狙って2020年予定の下院選挙を前倒し実施して大勝するかと思われたメイ首相率いる保守党が敗北した。片や労働党議員の一部から求心力不足だと指摘されていたコービン党首が活躍した。
 メイ首相率いる保守党の財政緊縮策に対しコービン党首率いる労働党は緊縮財政策の撤廃を要求していた。
 イギリス国民は保守党が提案した国民投票でブレクジットを選択したが、同じ保守党が公約に掲げた財政緊縮策を拒否した。
 日本流にいえば是々非々だ。いかにもイギリス人らしい。

 一方、日本の選挙では時ならぬ風が吹き荒れることが多い。
 この風によって小泉チルドレン、小沢ガールズ、そして昨日の小池チルドレンなど大量の新人議員を輩出してきた。
 日本では有権者が風に流されやすいことを熟知している政治家が勝利してきた。
 郵政民営化を問う選挙ではたとえ殺されてもいいと開き直ったり、都政のため自ら身を切る改革が必要と宣言して給与を半減するなどパーフォーマンスに長けた政治家が選挙で圧勝した。いつも見慣れた光景である。

 英国の選挙を政策優先の優等生の選挙にたとえれば、日本の選挙はアイドルの総選挙といったところか。
 日本の選挙は候補者が声を張り上げ連呼する。中身はスローガン、スキャンダルの暴き合い、中傷合戦など。品のよさではアイドルの選挙がはるかに上をいっている。
 イギリス流の政策中心の選挙は議会制民主主義の発祥の国にふさわしく仰ぎ見るものがある。だが万事イギリス流がいいというわけでもない。
 こじんまりまとまり汚職を排し、利権を排した優等生選挙。優等生であるがゆえに無駄なく効率的ではあるがそこには政治でもっとも要求される活力に乏しい。
 日本の選挙を見ていると喧騒と軋轢と無駄、建設と破壊が同時進行する大都会のダイナミズムがある。そこから何かが生まれるかもしれないという期待感がある。
 政治家に要求されるのは政策とその実行力。有権者は清廉潔白であることだけを求めていない。
 ただしそこに政治に要求される公私、是非の調整機能が欠けていては混乱は混乱でしかなくそこから何も生まれない。

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