2016年8月22日月曜日

シン・ゴジラ

 今夏公開された映画シン・ゴジラは前評判が高く、実際その期待を裏切らない。
 この映画の特長の一つに危機に際して日本社会の意思決定の様子が描かれている点にある。

 後にゴジラ(Godzilla)と命名される巨大不明生物が東京湾に出現し想定外の事態が発生する。
 これに対処するに、前半部分では学者の紋切り型の論評、政治家のパーフォーマンス、官僚の縦割り行政への固執などが面白おかしく皮肉をこめて撮られている。
 ところが事態が深刻化する後半部分では政官が一致団結して巨大生物対策にあたる。
 各省庁から ”はぐれもの” 扱いされていた官僚たちが対策本部に集められ本部長から下記趣旨の訓示を受ける。

 「この未曾有の災害に全力で対処願いたい。なお本件については従来の人事考課は適用しない。」

 この訓示の効果はてきめんでセクショナリズムから解放された官僚たちはもてる能力をフルに発揮し見事ゴジラの凍結作戦に成功する。

 綿密なプランと的確な意思決定で事態が急転直下解決する。現実には起こりえないであろうことが起こる。
 意思決定システムの面白さとともにカタルシスを得られる映画である

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