2014年12月22日月曜日

官僚に対する民主的統制 3

 絶大な権力をもつ財務省はなにを目指すのか。
トップエリートの義務として粉骨砕身し国民のために働くのだろうか、日本国の財政を真に憂いこれを再建するために働くのだろうか。
 安倍首相も言ったではないか「財務省は善意で財政再建のための消費税増税を推し進めている」と。
 われわれも安倍首相と同じくそう考えたい。が、過去2回の消費税増税はそのような希望的観測を無惨に打ち砕いた。増税のたびに財政再建はむしろ遠ざかった。
 この期に及んでも財務省の増税による財政再建を信じるとすれば、その人はよほどおめでたい人であろう。
 ”権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する”とイギリスの歴史家ジョン・アクトンは言った。
 歳入権、予算編成権、官僚の人事権を手にした財務省は絶対的に腐敗する。歴史に照らしても明らかだ。
 再び高橋洋一氏が解説する官僚が目指すものとは何かをみてみよう。
 「官僚は、本音を言えば、うまくコントロールできない市場も嫌いだが、民主主義も嫌いだ。もちろん、対外的には『市場原理を生かしつつ』とか言いながら市場原理を決して否定しない。
 また、表で民主主義を否定するようなバカもいない。
 ところが、酒でも入ると、『市場なんかデタラメだ、金利が自由に動くとろくなことがない』などと喚く。また、『民主主義じゃあ、減税ばかりの大衆迎合になってダメだ。とくに国会議員なんかに任せておくと、カネをせびりばかりで財政再建なんて絶対にできない』と、威勢のいい輩も出てくる。」(高橋洋一著祥伝社黄金文庫『官愚の国』)
 市場金利の克服には毎月の発行価格を変化させる。これにより3ヶ月程度は一定の金利に収めることができる。民主主義については、建前上如何ともし難いので、国会議員を手玉にとる。これにより民主主義を克服する。
 資本主義社会の市場を自由に操り、民主主義社会の代議制の議員を手玉にとれば、あとはやりたい放題となる。
 腐敗した権力が目指すものは古今を問わず東西を問わず常に同じ途を辿る。国家のことより自らの利権を最優先する。
 特に税については、財務省の意図はいつも明確だ。
200年の経済学の歴史から、国家の基幹である税は、経済情勢によってデフレ不況期には減税、インフレ好況期には増税と相場が決まっている。こんなことにはおかまいなしに財務省はすきあらば増税を企む。増税により国家全体の税収が減ることが明らかであっても増税を推し進める。
 増税によって財務省が得る利権とは何か。それは例外措置である。典型的なものに消費税増税時の軽減税率適用がある。広く税全般に適用される租税特別措置法も財務省の利権に結びついている。
 軽減税率や租税特別措置法の適用は財務省にとって利権拡大のチャンスである。裁量の余地が大きければ大きいほど利権は拡大する。これら法の適用により当該業界に睨みをきかしたり、天下り先を確保できるからである。
 なぜ財務省の官僚は国家全体の税収が減るにも拘らず増税を目論むのか。財務省内には不文律があると高橋洋一氏は言う。どんな理由であれ増税すれば勝ち”減税すれば”負け”
長期金利を一定のレベルに押さえることができれば”勝ち”、ブレが大きくなれば”負け”である。
この不文律には、国民への配慮などない。
 大蔵一家と言われるように、この不文律は省内の規範である。この規範を破ればその後の出世は覚束ない。このため財務省の官僚は財務省の規範に忠実に行動する。
 このため財務省の考えを改めさせればよいなどという人がいるが、そんな説得が通用する世界ではない。
 腐敗官僚の大先輩である中国の人がそれを聞いたら鼻先で笑うこと受け合いだ。
 財務省について、これを擁護する人もいる。次に財務省寄りの財務省論を検証してみよう。

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