2017年11月13日月曜日

デフレの怖さ 1

 デフレになれば貨幣価値が上がるので人びとは消費から貯蓄へと貨幣選好になる。
 インフレ時は物価が上がるので欲しいものがあればすぐ買いたいと思うが、デフレ時にはその逆で欲しいものがあってもいずれ安く買えるという心理が働く。
 デフレ時には企業は投資しなくなる。投資の原資はたいてい借り入れによっているが1990年代初めのバブル崩壊後企業は借金の返済に苦しんだので安易に借金をしようとしない。
 儲からなければ借金して投資などしないし、儲けるものがなければ借金を返済し設備投資を減らし事業を縮小する。資金に余裕があれば将来に備えてひたすら剰余金を積み増す。企業として極めて合理的な行動である。

 個人は消費しない、企業は投資しない、政府も税収減で緊縮財政政策を採用する。このように個人も企業も政府もデフレから身を守る。
 その結果どういうことになったか。1929年アメリカは大恐慌に襲われた。その影響は日本にもおよび翌年から翌々年にかけて第一次世界大戦による好景気のバブル崩壊と重なり深刻なデフレ不況に陥った。

 ところがデフレになれば物が安く買えるので歓迎だなどという見方もある。デフレが日本を救うという見方さえある。 驚くことにデフレ時にこそ緊縮財政政策でがんばらなければならないと信念をもって主張する人もいる。しかもそれが国内だけではない。
 EUの盟主ドイツのメルケル首相は筋金入りの緊縮財政派であるようだ。
 リーマン・ブラザーズ破綻時に倹約に戻ることをすすめ
 「なぜ窮状になったか理由を知りたければシュヴァーベン地方の主婦(質素倹約で知られる)に聞くがいい」
といった。
 インフレ時にはシェアリングや助け合い精神が生まれるようにデフレ時にも緊縮財政で人心を引き締めるチャンスの効用があるということか。

 デフレ対策は諸説入り乱れ議論が二分している。なにが正しくなにが正しくないのか。賛否それぞれの論拠・妥当性について考えてみたい。

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