2014年2月3日月曜日

ギャンブル考 3

 人が賭ける理由があるように、人が賭けを止められない理由もまたある。
 大王製紙の前社長 井川氏は賭けを止められない理由を率直に述べている。

   負けが一定額になった段階でカジノをあとにする
   勝ちが一定額になった段階で勝ち逃げする
   借金をしてまで勝負しない

 「これらのルールを厳格に守ってさえいれば、106億8000万円もの大金をカジノに突っ込むなどという馬鹿げた行動は取らなかったはずだ。
 だが、ギャンブラーはそんな常識人のような発想はしない。4時間かけて500万円が2000万円まで膨らんだのであれば、8時間かければ1億円を3億円にまで爆発させることだってできるはずだ。
 元手がゼロになってしまう可能性は思考から排除し、倍々ゲームの未来を自分本位の脳内確率で夢想してしまう。」
                                        (井川意高著双葉社『熔ける』)
 常識的な発想を逸脱した途端にギャンブルの泥沼にはまり込み、そこから抜け出せない。その原因を、井川氏は、『自分本位の脳内確率』と表現した。
 これはカジノに限らず、勝負事、賭け事一般にいえる。負ける確率を十分認識しながら、無意識の世界でそれを排除してしまう。

 ギャンブルを社会学として研究している谷岡一郎氏は、ギャンブルをやめられなくなる原因を、精神医学者の分析を交えながら次の三つを挙げている。

 1 現実逃避 
 精神医学において、ギャンブルに限らずその他、酒、くすりなどに耽溺し、依存状態に陥る主たる原因として考えられているのは、”日常生活では解消されない心理的欲求を満たすため” である。が、これは一時的な満足を得るにすぎない。
 また、ギャンブル依存症の心理を研究した草分けともいえるバーグラーの研究を紹介し、”病的なほどのギャンブラーは心の奥底で実は”負けたがっている”と。
 ギャンブルは理性やそれを教えた、父母を含む社会に対する否定としてなされるが、父母などの社会的権威に対する直接の攻撃は心理的に前提として禁じられているため、自分をいじめる行為によってしか反逆心は達成されない。
 したがっ、て自分への攻撃イコール父母を含む社会への攻撃という形の中で負け続けることが必要となる。
 表面上本人は勝ちたいという気持ちでギャンブルをし続けるが、その実、負けることに心の奥底で満足感を覚えている。
 すなわちギャンブル依存症とは、無意識下における社会への反抗心の顕在化である。

 2 認識の甘さ
 精神医学者ロバート・カスターは人がギャンブルにはまっていくプロセスを『冒険/勝ち』、『負け続け』、『自暴自棄』の三段階にわけ、そのプロセスの各段階で ”オレだけは勝てる” ”私は確率論の外にいる” ”神に選ばれた人間のはずだ”など奇妙に信じ込む。
 ギャンブラーの常として、勝った時は自分自身の実力(強運)による結果であると信じ、いつまでも忘れずに他人に自慢するが、負けた時は自分の実力以外の要素(となりに座った人が話しかけたとか、信じられない不運の連続など)のせいにし、何日も経たないうちに記憶から消えてしまう。
 そして負け続けてもいつか必ず勝ってプラスになることを信じて疑わない。

 3 やめさせない心理トリック
 財布がカラになるまでやめない、または財布がカラになってもやめない、という行動は、一面ではやめない本人の問題であるが、ある面では、やめさせない工夫がギャンブル場によって用意されている。
 これがギャンブルにはまっていく者たちの内面的心理に対し、ギャンブルを提供する側による外部的誘因たる、やめさせない心理トリックである。
 カジノに例をとれば、現実を忘れさせる『空間』、いたれりつくせりの『サービス』、ハラハラドキドキ感を醸し出す『ゲーム』、賭け金が無くなった人に対する容易な『クレジット』の提供、などである。

 現実逃避についてのバーグラーの研究は、”過度のギャンブルは自己を罰したいとする内なる欲求である” とする、フロイトの説を構成しなおしたものであり、実証研究上のサポートがないため、有力な説ではないと、谷岡氏は述べている。
 が、われわれが日頃報道で接する破滅したギャンブラーの家庭環境には、ある共通点に気づく。父母あるいは社会的権威による抑圧である。実証研究が進めば結論も違ったものとなろう。
(谷岡一郎 仲村祥一編世界思想社『ギャンブルの社会学』から)

 認識の甘さについては、これは何もギャンブラーに限らないが、ギャンブラーはその度合いが強いということか。
 人間は、本来自分に甘いようだ。
 ユリウス・カエサルも 『ガリア戦記』 で ”人々は自ら欲することを信じる (homines id quod volunt,credunt) ” といっている。
 ギャンブルに狂うとその歯止めが利かなくなる。

 やめさせない心理トリックについては、大王製紙の前社長 井川氏の『前掲書』でその生々しい実態が詳細に描写されている。
 詐欺の被害に遭う人の行動は、傍からみればとても信じられない行動をとるが、ギャンブルをやめられない環境におかれた人も傍からみればとても信じられない賭け方をする。
 いずれの場合も、当事者にとってはごく自然の行動、自然の流れである。当事者はそれを危険などと気づかない。

 重度のギャンブル依存症など他人事と、ほとんどの人は考える。
 が、そのように考える人もいつ何時この忌まわしい病にまきこまれないとも限らない。
 次稿でこの危険な心理的誘惑について考えてみたい。

1 件のコメント:

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