2015年11月2日月曜日

日本型資本主義 1

 自民党の安倍晋三議員が再び首相に返り咲く直前の2012年12月雑誌文芸春秋2013年1月号に ”新しい国へ”  というタイトルで自らの資本主義観を披露している。

 「私は瑞穂の国には、瑞穂の国にふさわしい資本主義があるのだろうと思っています。
 自由な競争と開かれた経済を重視しつつ、しかし、ウォール街から世界を席巻した、強欲を原動力とするような資本主義ではなく、道義を重んじ、真の豊かさを知る、瑞穂の国には瑞穂の国にふさわしい市場主義の形があります。」 

 だが安倍議員は首相就任後、瑞穂の国の資本主義など忘れたかのごとく、自らドリルとなって規制を打ち砕きわが国の構造を改革すると内外に宣言し、ひたすらアングロサクソン・新自由主義的政策を推進している。


 またイギリス人社会学者で日本研究家として知られるロナルド・ドーアは2001年に日・独とアングロサクソンの資本主義の違いについて言及しその行く末についてこう述べた。

 「日本型およびドイツ型の資本主義が、ゆくゆくは英米型資本主義に同化するのか - つまりイギリスとアメリカの間の違いぐらいしか両国と違わないようになるのか - という問いかけに対しては、今になっても、この本の最終章を書いた時よりも断定的な結論を下す勇気はない。『結論のない結論』で読者には申し訳ないのだが、あと10年ぐらい待っていただきたい。」
(東洋経済新報社ロナルド・ドーア著藤井眞人訳『日本型資本主義と市場主義の衝突』)

 そして12年後の昨年、日本がより一層新自由主義的政策に傾き日本観が変わったと嘆いた。

 「私の対日観を変えたのは、その後の憂うべき右傾化である。その原因は、中曽根や小泉など、我の強い政治家個人の世界観の影響もあっただろうが、12年前に書いた『日本型資本主義と市場主義の衝突』(東洋経済新報社)で述べたように、米国のビジネス・スクールや経済学大学院で教育された日本の 【洗脳世代】 が、、官庁や企業や政党で少しずつ昇級して、影響を増して、新自由主義的アメリカのモデルに沿うべく、 【構造改革】 というインチキなスローガンの下で、日本を作りかえようとしてきたことが大きな原因だったと思う。」
(藤原書店ロナルド・ドーア著『幻滅』)

 安倍議員によって、”瑞穂の国の” と形容され、またロナルド・ドーアによって”日・独形”と形容されて、アングロサクソン型資本主義と対比される日本型資本主義であるが、この日本型資本主義とは何だろう。アングロサクソン型資本主義とどう違うのか。
 そして日本にとってとるべき道とは。
 わが国は今趨勢としてロナルド・ドーアが指摘したように日本型資本主義からアングロサクソン形資本主義により比重が移っている。
 ここで一度立ち止まってこの問題是非につき問うてみたい。

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