先週山口県で行方不明になった2歳の男の子が3日ぶりに保護されたという明るいニュースが話題になった。
保護したのは大分県の78歳ボランティア尾畠春夫さん。男の子を手渡したとき母親のうれしそうな顔をみて涙が出たという。
尾畠さんはいう「何も求めないのが私は真のボランティアだと思うんですよ」と。
中国の儒家 孟子は人にはみな他者の苦境を見過ごせない『忍びざるの心』があるという。
ボランティアの原点はこの『忍びざるの心』にあるのではなかろうか。
ところでこのニュースにコメントを求められた社会学者の古市憲寿氏は
「日本中で60歳とか65歳で会社定年して、やる気あるけど時間をもてあましている人ってたくさんいるわけじゃないですか。
そういう人にとっても、すごい一個のモデルになるというか、すごい素敵な生き方だなと思うんですけど。
ただ、誰も彼もが尾畠さんになれるわけじゃないから、真似して逆に迷惑をかける人が多そうですよね。」(フジテレビ系『とくダネ!』)
と言ってのけこの話題に水を差した。人の行動を素直に信用できない疑心暗鬼の世相を反映している。
真似することは必ずしも悪くない。吉田兼好も言っている。
「狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり。悪人の真似とて人を殺さば、悪人なり」(徒然草85段)
偽善は悪いことばかりではない善になることもある、というヤボなコメントをつけ加えておこう。
たしかに尾畠さんのような強い信念を持った人はまれだろう。だからこそ尾畠さんの生き方が人びとに感動を与えたのだ。
この救出劇は万事カネが幅を利かす世の中に一石を投じた。肝心なことは真似するかしないかではなく『人は何のために生きるか』であろう。
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