移民政策の代表的な論者の一人は、元法務官僚で移民政策研究所長 坂中英徳氏であろう。
彼の主張は 内閣府の 「目指すべき日本の未来の姿について」 で技能者、技術者中心に移民受入れ(例えば、年間20万人)に反映されている。
彼は、法務省在籍時の各地入管局長の経験から日本の人口減対策には移民による他ないと断言している。
その要点は
1 東京オリンピックが開催される2020年までに、日本は移民国家としての基本的な制度を確立すべき
2 向こう50年間で1000万人(毎年20万人)の移民を受け入れるべき。
3 人口減による年金・社会保障制度崩壊は、1000万人移民により解決される。
4 日本型移民政策による。日本語教育・職業教育を徹底し人材を育てる。充分に教育すれば移民の犯罪もなくなる。
5 介護・福祉、農業・林業・漁業は待ったなしの緊急の課題。2020年東京オリンピックに向けての建設業も移民が必要。
6 最大の課題は製造業。大企業を支えている中小企業が後継者難でつぶれている。モノづくり能力がなくなったら日本は滅亡する。これを支えるには移民しかない。
7 日本はもともと雑種文化である。宗教、国際結婚にも寛容である。希望すれば移民に国籍を与え日本を多民族共生社会にする。
政府関係では、内閣府の経済財政諮問会議・産業力競争会議の一つ 成長・発展ワーキング・グループが、外国人労働者の受入れを打ち出している。
その骨子は
人口減少社会への突入を前に、労働力人口を維持・労働生産性を上げていけるかどうかが、日本が成長を持続できるか否かの鍵である。
このための一環として多様な価値観や経験、技術を持った海外からの人材がもっと日本でその能力を発揮してもらいやすくする。具体的には
(高度外国人材の活用)
① 高度外国人材受入環境の整備
人材の獲得競争が激化する中、日本経済の更なる活性化を図り、競争力を高めていくためには、優秀な人材を我が国に呼び込み、定着させることが重要である。
(外国人技能実習制度の見直し)
外国人技能実習制度については、その適正化を図るとともに、海外における人材需要等の実態を踏まえた必要な見直しを以下のとおり進める。
② 外国人技能実習制度の抜本的な見直し
国際貢献を目的とするという趣旨を徹底するため、制度の適正化を図るとともに、対象職種の拡大、技能実習期間の延長、受入れ枠の拡大など外国人技能実習制度の抜本的な見直しを行い、所要の法案を提出する。
(持続的成長の観点から緊急に対応が必要な分野における新たな就労制度の検討)
③ 製造業における海外子会社等従業員の国内受入れ
④ 女性の活躍推進、家事支援ニーズへの対応のための外国人家事支援人材の活用
(中長期的な検討等)
中長期的な外国人材の受入れの在り方については、移民政策と誤解されないように配慮し、かつ国民的なコンセンサスを形成しつつ、総合的な検討を進めていく。
なお、外国人材の活用を進めるに当たっては、基本的な価値観を共有する国々との連携を強化するという観点も踏まえつつ、取組を進める。
(「日本再興戦略」改定2014 -未来への挑戦ー 平成26年6月24日 から)
このワーキング・グループが外国人労働者受入れを打ち出している前提は、日本が 「新しい産業が育っていない極東の静かな国」 ではなく 「新しい産業が育って国際社会で活躍し、ヒト・モノ・カネ・情報が集まる国」 を選択することであり、その論拠は次のとおり。
1 日本は急激な人口減少が進んでいる。震災復興や2020年東京オリンピック・パラリンピックをまえに労働力不足は特に深刻である。
2 人口減対策として、女性が子供を産みやすくする環境に努力しているがとても間に合わない。
3 労働力減対策として、女性の活用・高齢者の活用に努力しているがとても間に合わない。
4 高度外国人材は日本経済の活性化と競争力強化につながる。
5 高度外国人材以外の外国人材は労働力減対策とともに国際貢献にもなる。
1~3 は外国人労働者受入れ論拠の前提条件であり、差し迫った問題でもある。
問題となるのは4~5 である。
4 の高度外国人材の受入れは、以前から政策として採りいれられたにも拘わらず、実効性が伴っていない。
これを効力あるものにするために、外国人の家事労働者を受入れるという。
思惑どおりにいけばいいが、最悪の場合、高度人材は入らず、家事労働者のみが増えることである。
5 は現状ただでさえ技能実習の名のもとに低賃金労働者の受入れではないかと疑われているが、あえてこれを拡大するという。
中長期的な検討等として、 「移民政策と誤解されないように配慮し」 などという慎重な文言がある。
衣の下から鎧が見える。
なお、外国人材の活用を進めるに当たっては、基本的な価値観を共有する国々との連携を強化するという観点も踏まえつつ、取組を進める。
(「日本再興戦略」改定2014 -未来への挑戦ー 平成26年6月24日 から)
このワーキング・グループが外国人労働者受入れを打ち出している前提は、日本が 「新しい産業が育っていない極東の静かな国」 ではなく 「新しい産業が育って国際社会で活躍し、ヒト・モノ・カネ・情報が集まる国」 を選択することであり、その論拠は次のとおり。
1 日本は急激な人口減少が進んでいる。震災復興や2020年東京オリンピック・パラリンピックをまえに労働力不足は特に深刻である。
2 人口減対策として、女性が子供を産みやすくする環境に努力しているがとても間に合わない。
3 労働力減対策として、女性の活用・高齢者の活用に努力しているがとても間に合わない。
4 高度外国人材は日本経済の活性化と競争力強化につながる。
5 高度外国人材以外の外国人材は労働力減対策とともに国際貢献にもなる。
1~3 は外国人労働者受入れ論拠の前提条件であり、差し迫った問題でもある。
問題となるのは4~5 である。
4 の高度外国人材の受入れは、以前から政策として採りいれられたにも拘わらず、実効性が伴っていない。
これを効力あるものにするために、外国人の家事労働者を受入れるという。
思惑どおりにいけばいいが、最悪の場合、高度人材は入らず、家事労働者のみが増えることである。
5 は現状ただでさえ技能実習の名のもとに低賃金労働者の受入れではないかと疑われているが、あえてこれを拡大するという。
中長期的な検討等として、 「移民政策と誤解されないように配慮し」 などという慎重な文言がある。
衣の下から鎧が見える。
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