かかる感情は個人レベルではよくあること。国家間でも、イングランドとアイルランド、イスラエルと中東諸国など、今も昔も犬猿の仲、とてもいいとは言えない。
日韓関係となるとどうなるか。その敵対感情はどこにも負けないほど激しく、かつ一方的である。
「日本に負けたら玄界灘に身を投げろ」日本人には悪名高い李承晩初代韓国大統領は、1954年初めてのサッカー日韓戦で、こう言って選手を送り出したという。
最近では、李明博前大統領の公然たる竹島上陸、韓国系アメリカ人の運動による米グレンデール市の慰安婦像の設置、同じく米バージニア州とニュージャージー州の日本海/東海併記問題、強制動員賠償訴訟での韓国裁判所での有罪判決、日本の歴史教科書にたいする公然たる内政干渉、など韓国からの反日攻勢は枚挙にいとまがない。
朴槿惠現韓国大統領は、中国に働きかけ日本国初代総理大臣 伊藤博文を暗殺した安重根の記念館を暗殺地のハルピン市に開設させた。日本に向かっては事あるごとに歴史認識を非難し、就任後1年たっても未だに日韓首脳会談を拒否している。
今、韓国は、社会体制、安全保障体制に関係なく、また韓国自身にとっても死活問題とさえなりかねない日本との経済交流に障害となることなど一切視野にないかの如く、政府と民間、国内と国外を問わず、国を挙げて「反日」の熱気が渦巻いている。
何故に、韓国はこうまで「反日」なのか。その感情はどこからきているのか。どうして日本はここまで恨まれなければならないのか。
隣国だからしかたないという人がいるかとおもえば、西洋列強と同じく植民地化したからだという人もいる。はたしてそうか。
殖民地化された国と旧宗主国の関係は、西洋列強のばあい、日韓ほど仲が悪くない。むしろ友好的でさえある。
日本は、先の大戦でアジア諸国に軍靴をとどろかし官民問わず戦争の惨禍を及ぼした。しかしそれは他のアジア諸国も同じではないか。台湾を見よ。韓国と同じように併合した。台湾から恨みつらみの言葉などつゆぞ聞かない。
ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ミャンマーなど他のアジア諸国から怨念のことばなど聞かない。韓国と中国だけが「反日」感情を隠そうともせず、事あるごとに日本を非難し、歴史問題、靖国問題に過剰反応し、公然と内政干渉を繰り返す。
この韓国の「反日」の熱気に煽られ、わが国でも「反韓」感情が次第に熱気を帯びつつある。
テレビ、新聞、雑誌などでその類の記事が目に付くようになった。特に、「反韓」ものが書店にあふれ人気の度合いがわかる。 目ざといテレビのコメンテータなど、「反韓」をいえば視聴率を稼げるとばかり、いっそう声高になる。
が、このような日韓の非難応酬合戦からはなにも生産的なものは生まれてこない。
これでは北朝鮮を利するばかりと、とうとうアメリカが仲裁の役をかってでんばかりの情勢となっている。
かかる問題の解決には、テレビ、新聞、ネットなどからの情報に頼った常識的な判断だけでは道を誤る。
一時の感情に振り回されて導かれた結論ほど危ういものはない。
ここは、問題の根っこにある本質的な部分に焦点をあてる社会科学的アプローチこそが本筋である。
この類の社会科学的分析は、日本人はあまり得意な分野ではないようだ。それが証左に太平洋戦争時の国家総動員法という格好の例がある。
この時アメリカはどうしたか。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」 という孫子の兵法を知ってか知らずか、ともかく戦争参入にあたり、目的合理的に国家を挙げて戦争に望んだ。軍事面のみならず、敵国である日本および日本人の行動様式を徹底的に研究した。この目的のため社会人類学者を召集し研究せしめた。よく知られていることだが、ルース・ベネディクトの『菊と刀』はその成果の一つである。
これに比し、第一次近衛内閣によって制定された国家総動員法は軍事面、主にハード主体で、社会科学的分析が十分になされたとはいえない。この意味において当時の日本は、総力戦とはいっても、中途半端な軍国主義国家であったといえる。
かってないほど日韓関係がギクシャクした今こそ、激情にかられ過剰反応することなく、社会科学的に「反日」韓国を分析しなければならない。
その結果、結論が常識とは異なるかもしれないが、社会科学の教えるところによるべきである。
なぜなら他の諸科学で、常識と思われたことが間違いであったことをわれわれはしばしば見てきたからである。
社会科学とて例外ではありえない。
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