過去の深刻なデフレの悲惨はインフレの比ではない。
長引くデフレに対し日銀は2%の物価上昇目標を掲げデフレ対策を行ってきた。
2013年3月以降デフレは貨幣現象という岩田副総裁の見解もあってか日銀執行部は異次元といわれる金融緩和策を継続して実施してきた。
ところが4年を経過した今なおデフレ脱却とはいい難い。デフレという病に対し金融緩和が想定されていたような効果を発揮していない。
データがそれを示している。
① 消費者物価指数
② きまって支給する給与(前年比)
平成27年 +0.2%
平成28年 +0.2%
平成29年1月~8月 +0.3%
出典 厚生労働省 毎月勤労統計調査
日本は敗戦後酷いインフレの経験から経済政策はいかにインフレを抑制するかが課題とされてきた。
政府や日銀は経済成長を掲げる一方インフレを未然に防ぐことを忘れなかった。
景気過熱と見るや拙速かつ過激な金融引き締めでたびたび景気の腰を折ってきた。
20年にも及ぶデフレにもかかわらず的確なデフレ対策が行われてこなかったのはこのことが原因の一つになっていたかもしれない。
これほど長い期間のデフレは戦後はじめての経験であるがこれ以外にわが国は明治以降2度デフレを経験している。松方デフレと昭和恐慌である。
松方デフレは、1880年代に西南戦争による戦費調達で生じたインフレ解消のための行き過ぎたデフレ誘導財政策の帰結あり、昭和恐慌は1929年のアメリカの大恐慌の影響と第一次世界大戦の戦勝景気のバブル崩壊が重なり対策のために採られた金本位制の緊縮財政が裏目に出た深刻なデフレ不況であった。
なお海外においては1873年から1896年まで長期にわたる当時の覇権国イギリスを悩ませたデフレがある。
デフレに陥った原因とその対策に関連してわが国で最も深刻なデフレ不況であった昭和恐慌を生きた事例として現下のデフレ対策のヒントとして探ってみたい。
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