中学3年生の藤井聡太四段が勝ち星を重ねるにつれメディアの取材が増えついに新聞の号外が出るほど藤井少年の人気が過熱している。
なにしろプロデビュー以来負けなしの28連勝と白星を重ねているのだから当然といえば当然だが。
田中寅彦九段は藤井四段の強さは「異次元」であり今後どれだけ強くなるのか「想像もつかない」という。その他のベテラン棋士も同じような感想を述べている。
彼の活躍で将棋界は活況を呈し嬉しい悲鳴をあげている。江戸時代に現在の将棋が確立されて以来これほどの将棋人気があっただろうか。将棋界にとっても文字通り「異次元」の人気だ。
藤井四段の強さの秘密はネットとAIにありといわれる。 以前であれば先輩棋士の棋譜を筆写やコピーしていたが今やネットで簡単に見ることができる。
腕試しも道場に通わなくてもネットでできる。プロ棋士も登録しているネットの道場はレーティング制になっており練習相手にこと欠かない。
難解な局面ではソフトに問いその答えで腕を磨くことができる。
これらはやろうと思えば誰でもやれる。将来、藤井四段の最大のライバルは既存の棋士よりこれらネットとAIを駆使するであろう同年代以下の少年たちになるかもしれない。
将棋を日本国外へ普及する活動は行われているものの駒が漢字で書かれているなどの理由で外国への普及は遅れている。
このため残念ながら藤井四段がその力を世界に試すことが出来ず、ファンもそれを見ることができない。
インドで発祥した将棋のルーツは西欧、中国、韓国、タイ、日本へと伝わった。
日本の将棋は、普及が国内に止まっていること、獲った駒を再使用できること、プロの対局は着座、プロの女性が一人も誕生していないことなど日本的なあまりにも日本的なゲームである。
囲碁も以前は着座対局であったが国際化がすすみ椅子対局となった。
将棋は日本人のしかも男性にしか指せないと自慢げに言った将棋好きの猛者を思い出す。
たしかに女流プロはいるがプロの女性は一人もいない。まさか着座対局を義務付ける現在のルールではスタイルが悪くなると女性たちが将棋を敬遠しているわけでもなかろうが・・・。
将棋の国際化はともかく女性が将棋向きでないとはいえない。様々な分野で男勝りの女性がいることは今さら説明するまでもない。将棋も例外ではなかろう。
現に将棋に似たチェスでは1991年に最高位グランドマスターを15歳で獲得し、その後世界ランク1位になったハンガリーの女性チェスプレイヤー、ユディット・ボルガーがいる。彼女は今でも女性チェスプレイヤーの憧れの存在である。
将棋もいつの日か女性のプロ棋士が誕生し活躍する時代がくるに違いない。
将棋は日本特有の伝統文化であり将棋界にヒーローが出現したことは明るい話題であるとともに、弱冠14歳の少年が社会現象となるほど人気になるのは平和ならではの光景である。
願わくは藤井少年が人気という”うたかた”に惑わされないことを祈る。
熱しやすくさめやすい移り気な国民性、なかでもその先導役のメディアにあたら希有な才能の芽が摘まれることだけは見たくないものだ。天才は稀にしか出現しないのだから。
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