2016年6月27日月曜日

揺らぐEU 1

 イギリスは国民投票でEU離脱を選択した。
 イギリス国民の判断は、拡大をつづけてきたEUが初めて逆方向にベクトルをかえた歴史的瞬間であるとともに大方の予想外の結果であった。為替・株価の動きがそれを物語っている。
 わが国には遠く離れた欧州の政治情勢については拭い難い判断ミスの事例がある。
 1939年8月予想だにしない独ソ不可侵条約が締結されて当時の首相 平沼騏一郎は ”欧州の天地は複雑怪奇なり” と今だに語り草となっているセリフを残して内閣総辞職した。
 今回 大方の見方が外れたのはイギリス庶民の怒りを過小評価したせいとも言われている。

 イギリスのEU離脱についてユンケル欧州委員長は 「友好的な離婚ではないが、そもそも親密な恋愛関係にあったことも決してなかった」と冷静に語っている。

 これからEUとイギリス両者にとって、長い複雑な離婚協議となるだろうが、いつはじまるのかを含め未確定なことがあまりにも多い。
 投票直後から英下院に対し再投票を求める請願があり署名が既に300万人を超えている。

 イギリス国民投票は、理性と感情の戦いといわれた。政治的経済的なメリットを理性にうったえる残留派と移民を制限しEUから主権を取り戻すという感情にうったえる離脱派の戦いである。
 感情にうったえる作戦が奏功した結果になったが、勝った離脱派は報道で知るかぎりイギリスの未来について確たる展望を描いているとも思えない。

 今回の歴史的判断に関連して、EUの未来についてはさまざまな意見が飛び交っている。
 イギリス国民の判断はオランダ、ドイツ、フランスの反EU勢力が勢いを増し、EU崩壊の糸口になるという論調の一方で、EUはこれをキッカケにますます結束がかたくなり磐石となる。イギリスこそスコットランドや北アイルランドはたまた首都ロンドンまでが独立志向し瓦解の危機に瀕するのではと述べ立てている。

 様々な文化、宗教、人種の集合体からなりたっているEUの未来を予測するのは至難の業である。
 が、風車に突撃するドン・キホーテにならいあえてこれを予測してみよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿