”民主主義は最悪の政治形態であるといえる。ただし、これまで試されてきたいかなる政治制度を除けば”ウィンストン・チャーチルが皮肉をこめて逆説的に言ったように、民主主義こそ人類が辿りついた最良の政治制度であることは、政治学者の一致するところ。
民主主義は、歴史的には、社会契約説でホッブズのリヴァイアサンが嚆矢をなし、ロックが市民政府二論で議会と国王の二権分立で間接民主主義をとなえ、これに対し、 ルソーが社会契約論で直接民主主義をとなえた。モンテスキューは法の精神で立法から司法を独立させ三権分立をとなえた。
そんなデモクラシーの起源なんぞとっくの昔にわかっていますわいな、とすぐ我々日本人は深く掘り下げようとしない。
西欧人の場合は、そうは考えない。死闘をくりかえして、やっとのことで民主主義を勝ち取った苦い歴史に裏打ちされていているからである。
民主主義は、いつ何時危機にさらされ、他の政体に取って代わられるかもしれないと肌で感じている。
従って民主主義とは、完成されたものを、床の間に飾っておくものではなく、絶えずそれを探し求めていくものであるとの認識である。
日本にも、聖徳太子の17条憲法、明治の五箇条のご誓文、明治欽定憲法に民主主義を見出すことができる。
そして民主主義が危機にさらされたという点では、日本も同じ苦しみを味わっている。
が、残念ながら、これを市民革命で勝ち取ったという歴史はない。
日本は敗戦により、ポツダム宣言第十項で屈辱的な一文をいれられた。
「日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ」
軍部という官僚組織の肥大化を抑えられなかった結果の悲劇を繰り返すなと念を押されたにもひとしい。
そして現在、この反省が生かされているのだろうか。
官僚組織はかたちを変え、深く静かに肥大化の一途を辿っていないか。
もしそうであれば、それをくいとめる方法があるのか。
ここは、民主主義の原点にたちかえり、戦後日本の政治学の泰斗 丸山真男教授と小室直樹博士の著作からその糸口を見出していきたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿