2015年10月5日月曜日

成長の罠

 かってナチスドイツのヒットラーは政権を取るまえ、彼の著書 『わが闘争』 で,

 ”嘘であっても声を大にして絶え間なく語れば、人はやがてそれを信じるようになる。”
と言った。
 フォルクスワーゲンは自社のディーゼルエンジン車はクリーンだと言い続けた。だがその嘘はついに暴かれた。

 ”少数の人を長期に亘り騙すとこはできる、また多数の人を一時的に騙すこともできる。だが多数の人を長期に亘り騙すことはできない” 

 これはアメリカ第16代大統領エイブラハム・リンカーンの言葉だが、このことはそのままフォルクスワーゲン社のディーゼルエンジン車についてもいえる。
 ドイツは戦後、ナチスドイツのユダヤ人排斥の負の遺産を払拭すべく移民や難民を率先して受け入れてきた。同時に国際社会に先がけて環境問題に対してもいち早くクリーンエネルギー政策に取り組んできた。
 ドイツ国民にとって今回の事件は晴天の霹靂であったに違いない。
 なぜこのようなことになったのか?
フォルクスワーゲン一社だけの問題なのか、はたまたドイツ国の構造的な問題なのか。
 今後の調査の進展を待つ他ないが、一つだけ確からしいことはフォルクスワーゲンが全世界に車を販売するグローバル企業であり、グローバル企業が陥りがちな 『成長の罠』 に陥ったことである。
 『成長の罠』 とは何か?
 株式投資でもこの言葉は使われるがここでは別の意味を意図する。
 それは成長を運命づけられた人が、過度に成長へ執着することによって陥る罠を意味する。
 動機は株主の期待に応えたいとか、シェアを伸ばして経営者の権限を揺るぎないものにしたいとかいろいろあるだろう。
 この過度の執着は呪縛となってフォルクスワーゲンを成長の罠に陥らせた要因の一つとなったと言っても過言ではなかろう。
 成長への執着がなければ企業の成長は覚束ないが、それが過度になれば逆に企業を罠に陥れる。
 げに心すべきは過度の執着!

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