2014年3月31日月曜日

「反日」韓国 5

 韓国の『反日』は、まず歴代政権がこれを主導して始まり、次に、この『反日』が民間レベルに及び、政権の思惑とは多少異なる形で徐々に浸透していった。
 そのあげく、『反日』で一儲けしようという者があらわれ、『反日』がビジネスと化した。
 政治家は、『反日』で国民の媚を買い、事業者は、『反日』で利益を得る。これが定着し、国家レベルでの反日システムとなった。
 この間の経緯を崔碩栄氏は次のようにのべている。

 「韓国の歴代政権は自分たちの目的のために国家のレベルで反日教育、宣伝を行ってきた。
 この結果『国家レベル』の反日の土台が固まり、それを利用しようとする『民間レベル』の反日が現れたのは1990年頃である。
 『反日』というテーマが韓国社会で力を発揮する妙薬であることに気づいてしまったのだ。
 その主体は商売人、政治家、市民団体、研究者から北朝鮮までと幅広い。しかし国家レベルの、国が望む価値観と常識を国民に植えつけようとする『洗脳』まがいの反日に比べて、民間レベルの反日はその目標がより具体的で、現実味がある。
 国家観、歴史観などではなく何かの『利益』を目指して動いているからである。」(崔碩栄(チェ・ソギョン)著彩図社『韓国が反日国家である本当の理由』)

 そして、反日で『利益』を得ている人々について次のように述べている。                      (前掲書要旨)
① 商売人
 韓国人の愛国心を最大限に利用し利益を得ている。独島(日本の竹島)が典型的である。
 金融、IT,製造、通信、食べ物など、ビジネスのあらゆる分野で『独島イベント』が実施され、利益を得ている。
 分かりやすい例を一つ、『独島弁当』。
 歴史教科書、竹島、靖国参拝問題がおこるたびに韓国の弁当屋さんは笑いが止まらない。
 弁当の中身が沢庵、海老フライ、豚カツなど日本由来のおかずであったが、そんなことにはおかまいなし。

② 市民団体
 韓国には日本の朝鮮統治や太平洋戦争と関連する市民団体が数多く存在する。類似した名前と目標を持つ団体もかなり多く、一般市民の目には区別がつかないほどである。
 諸団体の共通点は『日本』 『被害』 『犠牲』 という言葉を使い、常に何かを『求める』ことである。
 彼らは何を要求するのか。彼らが要求してきたものは、謝罪、賠償、補償、子孫への奨学金支給、無住宅被害者のためのマンション提供などである。
 これらの団体の活動は詐欺まがいである。
 例えば次のような事件はほんの一例である。

 2005年3月、『日本統治期に行われた強制動員に対する賠償金をもらえる』と全国から687人を集め、会費名目で合計1億5000万ウォンを騙し取った市民団体が警察に捕まった。
 典型的な『賠償金詐欺』の一つで、判断能力が落ちている老人たちを相手に金を騙し取る汚い手口である。
 しかし、警察の調べで驚くべき事実が明らかになった。
 それは、強制動員被害者であると名乗り会費を納めていた人の80%は徴用の経験のない『偽被害者』だったことである。
 『強制動員被害者』として会費を納めた『偽被害者』たちも、お金をもらうためならば『教育』を受け、『被害者』の役割を演じることに躊躇はなかったのだろう。
 騙したほうも、全員ではないにしろ騙された方にも、『真実』は重要な問題ではなかったのだ。

③ 政治家
 韓国の政治家ほど『反日』を積極的に利用してきた集団は他にいない。
 彼らが反日を利用したのは歴史を評価するためではない。だからといって自分の直接的な利益のためでもない。
 彼らは政敵を攻撃するため反日を利用する。
 韓国の国民が『親日派』に対して大きな反感を持っていることを利用し、反対派や選挙において競争相手の親日前歴を問題視するのである。
 現在、韓国の政治家たちはほとんどが戦後生まれである。しかし、韓国の親日攻撃には賞味期限がない。
 相手を攻撃すつためであれば、相手の父、祖父の代まで問題視するのである。

④ 北朝鮮
 韓国で起きている反日は北朝鮮と密接な関連がある。北朝鮮が韓国の反日感情を扇動する場合もあるし、不思議なことに北朝鮮と同じ声を出す韓国内の勢力も増えているのである。
 先頃の韓国の世論調査で、金正恩第一書記は、指導者好感度で安倍首相より上位であった。

⑤ 韓国と日本の左派
 韓国の左派学生運動勢力、日本の朝鮮総連は、過去の左派たちと同じく過去に日本がどれだけ悪いことをしたか強調する。
 国交樹立から既に50年以上経ったにもかかわらずである。それは日本を嫌っているからではない。彼らが反日の姿勢を崩さないのは、それが日本と韓国政府を批判する材料、そして消極的な韓国政府を圧迫する材料として使えるからだ。

⑥ 学者、研究者、活動家
 韓国には、国庫補助金で、『独島学科』が設立された大学がある。また、『独島教育士』 『独島文化解説士』などの資格検定がある。
 これらの制度が廃止されずに維持されるためには、日本との紛争が永遠に続くのが必要条件である。
 彼らにとって彼ら自身の日本に対する感情はどうでもいいことだ。彼らの中に『反日感情』がなくても、彼らは『反日』を行うしかないシステムになってしまったのである。

⑦ 反日を『業績』として利用する人々
 日本を敵として設定し、それを批判することは韓国内での売名のためにはとても有効な手段である。
 韓国のマスコミは、その内容が正しいか、正しくないかは置いといて、とりあえず報道する傾向があり、一方で、それに疑問を持ち、自分の目で確かめようとする読者、視聴者は少ない。
 その影響で嘘、間違いが紛れ込んだ報道が溢れている。
 なぜか日本関連ニュースだけに高い関心を示す韓国社会にも問題があるが、それを利用し刺激的なニュースを繰り返して量産する韓国マスコミの責任と罪も少なくない。

 崔碩栄氏は、以上を列挙したあと、最後に、象徴的な言葉で締めくくっている。

 「政治家たちは政敵への誹謗中傷のために、北朝鮮は韓国政府批判のために、韓国政府は世論操作のために繰り返して『反日』という薬を使用し、国民は自分でも気づかないまま、中毒になり、それに頼らざるを得なくなった。
 そして、それの『効き目』に気付いた勢力が、それを自分たちの『利益』のために利用するようになったのだ。
 『システム』が長年運営されてきた結果、その副作用も現れた。 韓国社会が自ら主張し、育ててきた『反日感情』に手をつけられなくなったのである。
 つまり、自在に操ることができた『反日』が、韓国社会の濫用の下で成長し続け、操縦制御不能のモンスターとなってしまったのだ。」(前掲書)

 さる3月25日の日米韓3者首脳会談で朴槿惠大統領は、安倍首相の韓国語の挨拶に無視で応じた。
 公の席でにこやかに握手でもしようものなら、韓国の政敵、マスコミの好餌となる。
 世論の支持を失うのに比べれば、外交非礼なぞなんのその。
 この際仏頂面を決め込むに限る。
 極めて分かりやすい日米韓3者首脳会談であった。

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