日本、際立つ借金体質! IMFが10/9各国の財政に関するレポートで日本については、消費税が10%でも財政再建には不十分だと指摘した。
12年度の債務残高が対GDP比236.6%、財政赤字依存度が10%、これが13年度では、それぞれ245%、9.1%と予想している。
これがどれくらいひどいかは、ギリシャの12年度の債務残高170.7%、財政赤字7.5%、13年度がそれぞれ181.8%、4.7%をみれば歴然である。
消費税率引き上げの是非が議論されだしてから、この類の情報が、メディアを通じ、頻繁に、我々の耳目にとびこんできた。
日本はひどい事になっている、あのギリシャよりひどいじゃないか、と。
消費税を上げて、国家財政が健全になるのであれば、我々もそのくらいの痛みには耐えよう、と健気にも賛意を示す街頭でのインタビュー光景も、時として、放映された。
消費税率を上げなければ、財政が破綻すると政府は説得し、メディアもこれに同調した。
消費税率上げの効果はどうか、1997年消費税3%から1998年同5%になって、税収は、期待に反して、46.67兆円から37.87兆円に減収になり、その後も回復しないままである。
今回の消費税率引き上げについては、国論は分れ、結果的に、緩やかな条件付で、8%から10%へと、段階的に引き上げられることになった。はたして、これで、財政再建の糸口となるのか。
個人の場合、家計に大きな負債があれば、消費を我慢し、ひたすら節約に努め、借金の返済を最優先するだろう。
これを国家のレベルで行えば、流動性の罠に陥り、GDP縮小→税収減で、ますます負債が膨らむ。
個人としては正しい行動でも、全体としては間違った行動、合成の誤謬となる。
国家のレベルでの、財政再建とは、節約ではなく、GDP、それも名目GDPの拡大である。
日本のGDPの構成要素は、官民の消費と投資である(純輸出はごくわずか)。財政再権のためには、消費と投資を拡大することが、必要不可欠である。
ところが、人々はいっこうに消費しようとしない、物が売れない、売れないから、設備投資をして、事業を拡大しようなどと思わない。
これは、ほんの一例で、日本は、この悪循環に陥っている。先進諸国の中で、日本だけが、GDPが伸びていない。
なぜ、こんなことになってしまったのか。重い英国病にでもなったのか。各国から、失われた20年の日本のようにはなるなと、揶揄される体たらくである。
金がないかといえば、そんなことはない、バブルを経て、日本には、有り余るほど、金がある、家計金融資産は1515兆円(2012年6月末日銀資金循環統計)このうち現預金が55.7%を占める。 これに対しアメリカは51.9兆ドルあるが、このうち現預金は14.7%にすぎない。対外純資産は253兆1000億円(2011年末)で、21年連続世界一の債権国である。驚くべき数字である。
また、景気回復に必要な、生産力、技術力はどうか、街には、物があふれている。しかし、物は売れない。需要さえあれば、いくらでも生産できるだろう。物が売れないから、生産しようにも、生産できない。
技術力にいたっては、計らずも、先の東日本大震災で明らかになったように、日本の技術がなければ、欧米の自動車製造工場の一部が、生産停止に追い込まれたほどである。
資金、生産、技術、どれをとっても、申し分ないのに、消費と投資は低迷したまま、GDPは縮小し、税収は、減る一方、政府の収支は、年々赤字を重ねている。
一体全体、日本はどうなっているのか。構造改革だ、行政改革だ、などと、声高に叫ばれても、空虚に響くだけである。
論より証拠、ここは、先例に学ぶしかない。現在の日本の景気は、需要不足、供給過多のデフレギャップ、明らかな、平成のデフレ不況である。
そして、経済学者、エコノミストをはじめ、このことに異を唱える人は殆どいない。そうであるならば、デフレ不況の処方箋を、過去に遡り、紐解くにしくはない。
昭和恐慌は、デフレに起因する大不況であったが、時の、高橋是清蔵相は、金融緩和政策と財政政策を通じて、有効需要を創出した。リフレーション政策を断行して、ハイパーインフレなど起こさず、需要を喚起した。
この政策により、不況からの脱出に成功した。デフレ不況の見事な成功事例がここにある。
日本には、資金もあり、生産力もあり、技術力もある。かつ、デフレ不況対策の、はっきりした成功事例もある。
ああ、それにも拘わらず、何故、未だに不況の底から這い上がれないのか。皆、不思議に思うだけで、なすすべを失っている。
人々は消費もしないし、投資もしない。どうしていいか分からない。右往左往するばかりである。
この原因を、次回、根本から分析してみたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿