先月30日フジテレビ報道2001の党首討論で安倍首相は衆議院を解散した理由を説明した。
その内容は日本において実質上権力を掌握しているのが誰であるか、その一端を垣間見た思いがする。
この会見で安倍首相は財務省によって消費税増税という外堀を埋められてしまったためこの流れを変えるためには衆議院を解散する他手段がなかったと告白している。
税は民主主義の根幹である。消費税は国民すべてに関係する。
民主主義社会においてはいうまでもなく国民が主権者である。消費税増税については、主権者である国民が国民の代理人である政治家にその可否を委任している。
ところがその判断を実質財務省が行っていたことが白日のもとに晒された。
近年財務省は経済情勢の如何を問わず、どの政権に対しても財政再建には増税が不可欠であると説明してきた。
安倍首相は、増税しても全体の税収が減れば元も子もないとの信念で、この旨機会があるごとに発言している。
ところがこの会見では、「財務省は財政再建しようという善意で消費税増税を目指している」と言って財務省に対する怒りの言葉を呑んだ。
最高権力者である筈の安倍首相が財務省に対する不満を差し控えたのだ。
見方によっては財務省によるしっぺ返しを心配したとも言える。行政府の長と官僚の立場を考えれば異常という他ない。
5年前民主党は官僚主導から政治主導を掲げ政権交代を実現した。
いずれも財務大臣を経験して政権の座についた管元首相と野田前首相は、公約にない消費税増税を言い出し、ミイラ取りがミイラになってしまった。
衆議院を解散せざるを得なかったとはいえ安倍首相は既定路線の消費税増税を延期した。驚くべきことに安倍首相は財務省に逆らった最初の首相であるとさえ言われた。
自民、民主を問わずどの政権にも財務省の影は色濃くついてまわっている。
官僚、それも官僚の中の官僚といわれる財務省についてわれわれはあまりにも知らないことが多い。
次稿以降、財務省寄りに財務省を論じる人とアンチ財務省の立場から財務省を論じる人のそれぞれの見方を検証し、官僚に対する民主的統制のあり方について考えてみたい。
未だ真の市民革命を経ていない日本社会に於いて、官僚に対する民主的統制が果たして可能なのか否か、その可能性を探りたい。
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