かってフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトは 『中国は眠らせておけ、目覚めると世界を震撼させるだろう』 と言った。
中国新華社通信によると、去る3月27日 習近平中国国家主席は、パリで行った中仏修交50周年記念講演でこのナポレオンの言葉を引用し、中国を「目覚めた獅子」に例え、「獅子はすでに目覚めた。しかし平和で温和な文明の獅子だ」と述べた。
「 習主席のこうした発言は『中国の夢』を説明する過程で出てきた。中国の浮上は国際社会にとって脅威でなく機会、混乱でなく平和、退歩でなく進歩だというのが、習主席の説明だ。『中国の夢』とは、習主席が2012年11月に党総書記に就任した当時、『2049年までに強力な現代国家を作り、中華復興の時代を開く』と宣言した政治スローガン。」
(2014年3月29日中央日報日本語版)
2049年までに世界の中心を目指すともとれる『中華復興』の意気込みを宣言した習近平主席の『中国の夢』の実現性やいかに。
共産党一党独裁体制の中国が覇権国家になる日がくれば、歴史の常識は覆されることになる。
近世の覇権国家はスペイン(ポルトガル)→オランダ→イギリス→アメリカ と、すくなくとも独裁国家ではなかった。
しかも中国は独裁とはいえ、個人の独裁ではなく、共産党という一党の独裁である。この意味において、習主席の宣言は歴史に対する挑戦でもある。
覇権国家になるには、経済および軍事で圧倒的な力が求められる。
中国の経済はどうか。2012年11月にOECDの2060年までの長期予測では、早ければ2016年に中国が米国を抜いてGDP世界1位になると予想している。中国がGDP世界1位になるのは時間の問題となりつつある。
覇権国家に不可欠な軍事はどうか。毎年10%以上の経済成長に歩調をあわせ、軍事予算も毎年10%以上増額してきた。
その結果、日本をはじめ近隣諸国の脅威となっている。
世界の軍事予算の過半を占めるアメリカには遠く及ばないものの、現在の10%を越える軍事予算増が続き、アメリカの軍事予算が縮小方向に向かえばナポレオンの予言が的中し、早晩中国が世界を震撼させる日がくるかもしれない。
中華復興を目指し中国は経済と軍事では着実に前進している、が政治的、文化的影響力はどうか。
先月、習主席のウイグル自治区訪問直後、嘲笑うかのように発生したテロ事件にみられるように、少数民族問題、沿岸部と内陸部の格差問題など、外患以上に内憂問題を抱え、軍事予算以上に内政上の治安に予算を割いている。
成長途上にある国家が、多くの矛盾を抱えるのが常としても、軍事予算以上に治安維持費に予算を割くなど尋常ではない。
昇竜の勢いにある中国を分析するには、情報が統制され、不確定、不明な部分が多く困難を極めるが、わずかな頼りとして中国の反骨といわれる作家および日本の現代中国研究家の著作を手がかりに、習近平主席が喩えた『目覚めた獅子』について分析を試みたい。
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