”投資”という項目が入っているからである。投資は国民生活の全ての分野に関係する。
TPPに賛成の論陣を張っているマスコミでさえ例外ではありえない。
現時点で判明している情報をもとにTPPに賛否を表明している代表的と思われる論客の主張を見てみよう。
まず、TPPに賛成の嘉悦大学教授 高橋洋一氏の主張
「まず、自由貿易の恩恵、これは経済学の歴史200年で最も確実な理論だ。TPPに参加すれば、10年間経過して調整が終了した後に、年間3兆円のGDP増加があって、それがズーと続く。
(つまり最初の10年間は累計で3兆円だが、その後は毎年3兆円のGDP増となるということ)
もちろん国内生産者のデメリットがあるからこそ、自由貿易には反対運動がある。
消費者からのメリットの一部を、経済被害を受ける国内生産者に所得移転(所得補償)してもまだ余りが出る。だからこそ、自由貿易を進めていける。
次に、ISD条項 TPPに参加しISD条項が適用になった場合、日本政府が訴えられる可能性が高まるのかどうか考えてみよう。
まず基本的な事実として、これまで日本は25以上の国と投資協定を結んでおり、それらの中にISD条項はほとんどすでに入っている。
アメリカの協定はないが、アメリカ企業は日本の協定先国経由でこれまでも日本を訴えることが可能だった。
つまり、アメリカ企業はTPPなしでも日本を訴えることができた。 また、カナダやメキシコはISD条項で訴えられた国として反対論者が例に挙げている。
ところが、カナダもメキシコもTPPに参加している。ISD条項の内容が酷くてメリットより訴訟リスクが高いのであればTPPに参加などしないだろう。
最後に、安全保障上のメリットだが、これは先の日米首脳会談でTPP交渉参加と集団的自衛権がセットになっていることからも、日米軸で対中、対北朝鮮の覇権ブロックに有効だ。まず基本的な事実として、これまで日本は25以上の国と投資協定を結んでおり、それらの中にISD条項はほとんどすでに入っている。
アメリカの協定はないが、アメリカ企業は日本の協定先国経由でこれまでも日本を訴えることが可能だった。
つまり、アメリカ企業はTPPなしでも日本を訴えることができた。 また、カナダやメキシコはISD条項で訴えられた国として反対論者が例に挙げている。
ところが、カナダもメキシコもTPPに参加している。ISD条項の内容が酷くてメリットより訴訟リスクが高いのであればTPPに参加などしないだろう。
TPPは、国際政治から見れば日米同盟で共通価値観を形成するのに役立ち、同時に対中での防波堤にもなる。
しかも国際経済では自由貿易のメリットを日本が享受できるので、一石二鳥だ。
ISD条項でアメリカ企業に日本が訴えられる可能性はあまりないと思うが、もしそうなっても、安全保障上のメリットを考えれば、些細な話だ。
中国との間で、万が一尖閣諸島紛争でも勃発すれば、その場合の日本経済への悪影響は計り知れない。
民主国家同士で、経済同盟などで共通の価値観をもち、経済的関係が深ければ、まず軍事紛争は起こらない。
国際政治上の同盟国間での貿易紛争など、民主的平和の代償と思えばたいした話でない。」
さすが、小泉・竹中政権当時の政策ブレーンであっただけに、根拠が理路整然としており、反論の余地もない。
特に安全保障の問題は日本の死活に係わるだけに説得力がある。
特に安全保障の問題は日本の死活に係わるだけに説得力がある。
ただ、メキシコとカナダ参加の件では、両国はすでにNAFTA(北米自由貿易協定)でISD条項で訴えられているので、両国のTPP参加とISD条項存在の関連性は希薄と言はざるを得ない。
日本が25以上の国と投資協定を結び、これらの国経由でアメリカが日本を訴えることができたのに訴えなかったので日本にとってTPP不参加とISD条項の存在の論拠にはならないという主張は矛盾している。
日本が25以上の国と投資協定を結び、これらの国経由でアメリカが日本を訴えることができたのに訴えなかったので日本にとってTPP不参加とISD条項の存在の論拠にはならないという主張は矛盾している。
次に、TPPに反対の急先鋒である、通商産業省の中野剛志氏の反対の根拠
「第一に、TPPは農業が盛んな東北の被災地の復興の妨げになる。TPPに参加して農業経営が厳しくなるかもしれないと思ったら、被災した農家の人々は気力を失う。
第二に、TPPは参加国のGDPの割合から、実質的に日米貿易協定なので、アジア太平洋の新興国の成長を取り込むことなどできない。しかも輸出倍増を掲げるアメリカが最も輸出先として期待しているのは日本だ。
第三に、日本はTPPに参加しないと世界の潮流から取り残されるとか、鎖国になるとかいった懸念があるがそれは間違い。
日本の貿易は、既に開かれており、アメリカ、韓国、EUの平均関税率比較で、日本の関税率は、韓国、アメリカより低く、農産品では韓国、EUより低い。
しかも、日本は食糧の自給率が低いので農業市場は十分に開放されている。これ以上農産品輸入を増やしたら、食料の自給率とデフレ下でのデフレ促進の問題が発生する。
第四に、TPPは、農業だけではない。現在、TPPの交渉は農業以外にも、金融、投資、労働規制、衛生・環境、知的財産権、政府調達など、あわせて24もの分野がある。
TPPは、日本の食料だけではなく、銀行、保険、雇用、食の安全、環境規制、医療サービスなど、国民生活のありとあらゆるものを、変えてしまいかねない。
特に、アメリカは、日本の保険制度をアメリカの保険会社に有利なように変えることを求めてきている。保険制度、自動車の安全基準や環境規則など国民の健康や安全に係わることもアメリカ企業に有利になるように変えさせられるおそれがある。米韓FTAでは、これら憂慮されていたことが現実となっている。
最後に、まずは、TPPの交渉に参加してみて、どうしても譲れない部分があるなら、交渉から離脱すればよいという意見がある。 これは現実的でない
特にTPPは、実質的に日米協定、したがって、もし日本がいったん交渉に参加しながら、途中で抜けたら、アメリカは裏切られたかっこうになり、日米関係は非常に悪化する。アメリカ以外の国々からも信頼を失う。
TPPの交渉にいったん参加したら、どんなにルールが不利になろうと離脱することはできなくなってしまう。
1911年小村寿太郎が、不平等条約を改正し、関税自主権を回復したが、TPPで、これを放棄しようとしている。
特にISD条項は、自国の法律が及ばない主権の放棄に他ならない。」
中野氏の論法にならえば、安部首相は、既にTPP交渉参加表明をしたので、もう引き返せないかもしれない。
TPPを促進している通商産業省に在籍していながら、あえて、大胆にTPPに異をとなえる勇気は多とすべきだ。
日本に、もし誇るべきものがありとせば、いかなる組織においても立場を超えかかる勇気ある人がいることは、そのうちの一つに数えられるだろう。
ただ、食料の自給率の問題はとりあげているが、高橋洋一氏がいうTPPと安全保障の問題には触れていない。
賛成、反対に係わらず、何れも解りやすい論旨である。彼らの主張は、それぞれ賛成、反対の意見をほぼ集約している。
我々は、これをどう判断したらいいのか。熟慮を重ね、観点を変え、改めて考えてみたい。
第二に、TPPは参加国のGDPの割合から、実質的に日米貿易協定なので、アジア太平洋の新興国の成長を取り込むことなどできない。しかも輸出倍増を掲げるアメリカが最も輸出先として期待しているのは日本だ。
第三に、日本はTPPに参加しないと世界の潮流から取り残されるとか、鎖国になるとかいった懸念があるがそれは間違い。
日本の貿易は、既に開かれており、アメリカ、韓国、EUの平均関税率比較で、日本の関税率は、韓国、アメリカより低く、農産品では韓国、EUより低い。
しかも、日本は食糧の自給率が低いので農業市場は十分に開放されている。これ以上農産品輸入を増やしたら、食料の自給率とデフレ下でのデフレ促進の問題が発生する。
第四に、TPPは、農業だけではない。現在、TPPの交渉は農業以外にも、金融、投資、労働規制、衛生・環境、知的財産権、政府調達など、あわせて24もの分野がある。
TPPは、日本の食料だけではなく、銀行、保険、雇用、食の安全、環境規制、医療サービスなど、国民生活のありとあらゆるものを、変えてしまいかねない。
特に、アメリカは、日本の保険制度をアメリカの保険会社に有利なように変えることを求めてきている。保険制度、自動車の安全基準や環境規則など国民の健康や安全に係わることもアメリカ企業に有利になるように変えさせられるおそれがある。米韓FTAでは、これら憂慮されていたことが現実となっている。
最後に、まずは、TPPの交渉に参加してみて、どうしても譲れない部分があるなら、交渉から離脱すればよいという意見がある。 これは現実的でない
特にTPPは、実質的に日米協定、したがって、もし日本がいったん交渉に参加しながら、途中で抜けたら、アメリカは裏切られたかっこうになり、日米関係は非常に悪化する。アメリカ以外の国々からも信頼を失う。
TPPの交渉にいったん参加したら、どんなにルールが不利になろうと離脱することはできなくなってしまう。
1911年小村寿太郎が、不平等条約を改正し、関税自主権を回復したが、TPPで、これを放棄しようとしている。
特にISD条項は、自国の法律が及ばない主権の放棄に他ならない。」
中野氏の論法にならえば、安部首相は、既にTPP交渉参加表明をしたので、もう引き返せないかもしれない。
TPPを促進している通商産業省に在籍していながら、あえて、大胆にTPPに異をとなえる勇気は多とすべきだ。
日本に、もし誇るべきものがありとせば、いかなる組織においても立場を超えかかる勇気ある人がいることは、そのうちの一つに数えられるだろう。
ただ、食料の自給率の問題はとりあげているが、高橋洋一氏がいうTPPと安全保障の問題には触れていない。
賛成、反対に係わらず、何れも解りやすい論旨である。彼らの主張は、それぞれ賛成、反対の意見をほぼ集約している。
我々は、これをどう判断したらいいのか。熟慮を重ね、観点を変え、改めて考えてみたい。
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